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文鳥・夢十夜

文鳥・夢十夜

著者: 夏目漱石/作

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もうすぐスターウィーク。
蒜山は星々の輝きに抱かれます。
月のない夜、
星ひとつひとつの鮮やかな色が見えます。

見る。

心が動く。

見えているものの魅力に慣れてくると、
見えないものも見たい…とゆう気持ちになります。

情報と共に見る。

道具を使って見る。

様々な手段により、
見れば見るほど、
見えないものの多さに気づき、

気配を感じながら、
どうしても見えないものに、
さみしさを感じます。

そんな気持ちになったとき、
夏目漱石の「文鳥」を読むことにしています。

記録のように淡々と過ぎる日常。
羽根の毛一本さえ逃さない詳細な文鳥の様子。

見えるけど、近づけないこと。

見えないものの気配と共に在ること。

理解・解決とゆう言葉を虚無しく感じることと出会い、
本を閉じるころ、
やわらかな静けさに包まれます。
(蒜山図書館・下午)

わたしが一番きれいだったとき  豊かなことば現代日本の詩 7

わたしが一番きれいだったとき  豊かなことば現代日本の詩 7

著者: 茨木のり子/作

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そうだったんだ
若い頃からずっと、私は、長~い小説が大好きで、詩には全く興味がありませんでした。
詩って短い。短い言葉では気持ちが伝わらない、というイメージしかもっていませんでした。
でも、最近、若い女性に茨木のり子の詩が人気だと知って、先日、はじめて茨木のり子の詩集を読んでみました。
そしたら、そのかっこ良いこと!
詩のイメージが一変しました。
話し言葉に近く読みやすい。反復法など表現のおもしろさもある。
これなら短くても思いは伝わるのだと思った。

そんなわけで、思わず茨木のり子の魅力にはまってしまいました。
この本には、茨木のり子の代表作37編が収められています。
中でも私のお気に入りはやっぱり「倚りかからず」と「自分の感受性くらい」です。
私も、この詩のように、何にも倚りかからず、自分の感性を信じて生きていきたい!
……けど、人の意見に流されやすい私には難しい……かなあ
(久世図書館・KAONITA)

永瀬清子詩集

永瀬清子詩集

著者: 永瀬清子、 谷川俊太郎/作

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心配する生き物、それは母
永瀬清子は岡山県出身の詩人である、という事は知ってはいたが、作品を読んだことはなかった。
そもそも私は「詩」が苦手だ。
作者のこころの内をこっそりのぞき込んでいるようで、秘密の日記を読んでいるようで、ソワソワしてしまう。
それでもこの詩集を読んでみたきっかけは、母に勧められたからなのだが、理由はこうだ。
「永瀬清子はあんたと同じ誕生日よ。読んでみたら?」
母は決して占いの類を信じるような人ではないが、誕生日が同じという点において、何か感じるものがあったらしい。
母の助言に従って開いたこの本の中で、「母の心配」という詩が目に留まった。私も母であり、今まさに息子が心配の種であるため、読んでみると共感ハンパない。
待てよ、私の母は息子を心配する私を心配して敢えてこの本を読ませたのか?
母を鬱陶しく思っている息子よ、母ってこんなもの。
いつもいつまでも子どもの事を心配して生きている。
(北房図書館・はにわ)

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

著者: 高野文子/作

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科学と私
著者の高野文子さんは手塚治虫文化賞マンガ大賞も受賞したこともある著名な漫画家さんなのであるが、マンガコーナーにあるからといって気軽にこの本を手に取って、読み始めた私はちょっと頭が混乱したのである。
本の語り手のとも子さんが娘のきん子ちゃんと暮らしながら、寮母をつとめる学生寮「ドミトリーともきんす」での寮生たちとの日常が描かれているのだが、その寮生たちが偉大な科学者たち、物理学者の朝永振一郎さん、朝ドラで身近になった植物学者の牧野富太郎さん、ノーベル賞受賞の物理学者湯川秀樹さんらなのである。もしや、○○学的な本なのかしらん?と、なるとなんだか頭が痛くなって、本を閉じてしまいそうになる。しかし、そこは高野さんのやさしくて、でも淡々として、ちょっと不思議なような漫画に助けられ、読み進んでみよう。ふむふむ。
難しくない言葉で書かれたセリフをゆっくりと考えながら読み進めていくと、科学者たちの人となりと研究対象と伝えたいことがなんとなくわかるような気になってくるのである。「わかってきたような気がする」それだけで科学との距離が少し縮まった気がして、勝手にうれしくなるのである。
(落合図書館・ジジ)

田んぼや水辺でみられる植物の芽生えハンドブック

田んぼや水辺でみられる植物の芽生えハンドブック

著者: 浅井元朗・西廣潤/作

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2024年上半期(個人的に)一番役に立った本
我が家の田んぼに今年とくに蔓延っている雑草。対処したいんだけど、あれって何かなあ?

と、家族に聞かれたのが始まり。
とりあえず特徴を聞き、その場でネットで調べてみたところ「オモダカ科」のどれかであることは間違いなさそうだ。
しかしこのオモダカ、思ったより種類がある。しかもスマホの画面越しに見た写真だとどれもよく似ている。
せっかくなら特定して一番効く手段を講じたいのだが、ネットで調べて出てくるのは成長したあとの写真ばかりで、芽生えたばかりの今の状態と見比べてもイマイチ決め手に欠ける……。

そこで頼りになるのはやっぱり図書館!
蒜山図書館にも、今回の需要にドンピシャなこんな本があった。
芽生えたところから成長段階に合わせた写真と詳しい説明文が載っている。まさにこれが知りたかった。
ハンドブックなので楽に持ち運べるのも嬉しい。

さてさて、我が家の田んぼに生えている雑草は……
もっともノーマルな「オモダカ」である。という結論で全員一致した。
(蒜山図書館・888)

伴走者は落ち着けない

伴走者は落ち着けない

著者: インベカヲリ★/作

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精神科医斎藤学は…神?
巻頭、四半世紀痴漢を繰り返し4回逮捕された元患者の話から始まります。
いやいや逮捕されたら止めましょうよ、と思いますが止められないのが依存症なのでしょう。
全国から患者が集まり、治っても10年20年と通い続けるカリスマ精神科医斎藤学。摂食障害・窃盗罪・性倒錯・買物依存症・引きこもり等、主に依存症にかかわる症状をどのように治療するのか?著者は斎藤学の本の愛読者で、この本を執筆するため斎藤学本人はもちろん患者にもインタビューしています。わかりやすい言葉で書かれているので医学的知識の全くない私にも読みやすく、患者の方の症状も想像しやすいのです。
さて、治療の内容についてはあまりにも深すぎて私がご紹介するなんてことは到底無理なので実際に読んでお確かめください。私は、様々な症状は病気ではなく、人間関係の問題だという文が印象に残りました。本人が全く気付いていないであろう本当の問題を突いていく先生は本当に…神?と思ってしまいます。
(久世図書館・N)

動物たちの惑星

動物たちの惑星

著者: スティーヴ ブルーム/撮影

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待ち合わせ場所
図書館は、ときには子供たちの待ち合わせ場所になります。
しかし6月の終わりのある日、友達はなかなかやってきません。

手持ち無沙汰にしている小学生の女の子に
「壁の飾りつけやらない?」
とお手伝いを提案したら、
「やるやる!」
とうれしい返事が返ってきました。
彦星や織姫、天の川を手に持って、ここに貼るのはどうかな、こうしたほうがいい、とあれこれ言いながら壁にペタペタと貼り付けます。あっという間に7月の壁面飾りが完成しました。次は何をしようか、という雰囲気の中、
「これなんだろ」
と女の子が持ってきた本がこの『動物たちの惑星』です。海を泳ぐ象の表紙が印象的な、野生動物の写真集です。
「象って泳ぐんだね」
「なんの動物かな?いっぱいいる」
「シロクマって、なんでシロクマなんだろう。白いから?」
「えー!このパンダ見て!」
なんて言いながらページをめくる女の子と、側で覗き込む司書。わいわい言いながら眺めるのは、一人で見るのとは違う楽しさがあります。
そうしていると、友達がやってきました。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
(美甘図書館・かも)

家が好きな人

家が好きな人

著者: 井田千秋/作

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私の好きな場所
私は家が好きである。
外に出るのが嫌いなわけではないが、どちらかというと家でゆっくりしているのが好きなタイプの人間だ。そんな私も社会人となり、最初のターニングポイント「一人暮らし」がやってきた!自分だけの家!どんな家にしようか興奮を隠しきれない!しかし引っ越して数日、私にレイアウトセンスが無かったばかりに、実家の部屋を丸写ししたような、面白みにかける家がそこにあった。崩れ落ちる理想のお家像。こんなはずでは……。

そんな私が、タイトルを一目見て図書館で手に取った本書。後日、改めて書店で購入したほどに気に入っていてしまった。
オールカラーのコミックイラスト集で、5人の登場人物がそれぞれの家で過ごす日常が描かれている。どの家も住人の「好き」が溢れる空間になっており、カラフルな食器や電灯代わりのランタンなど、細部まで書き込まれたイラストは隅々まで見ていても飽きない。こだわりのインテリアが詰め込まれている空間は、ごちゃごちゃしているようで調和していて、まるで1つの作品を見ているかのよう。
まさに、私が目指す理想のお家像なのである。
ちなみに、各章の見出しは「○軒目○○さん宅」となっており、作者の細かなこだわりが見える。私の密かな好きポイントである。(こういうのに弱い)
「家が好きな人」には、ぜひおすすめしたい1冊。

ちなみに現在の私の家はというと、たくさんのものに囲まれ、少々にぎやかな毎日を過ごしている。友達との思い出の品も増えてきた。
なかなか本書に登場するような部屋にはならないが、いつかを夢見て、今日も部屋の片づけを始めるのだ。
(湯原図書館・ノサミ)

5分後に最凶のラスト

5分後に最凶のラスト

著者: エブリスタ/作

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人の考えが一番こわい。
「5分シリーズ」って知っていますか?
「5分シリーズ」とは、1話が5分で読める短編小説集です。(例えば、『5分後に驚愕のどんでん返し』、『5分後に戦慄のラスト』、『5分後に後味の悪いラスト』、『5分後に超ハッピーエンド』などがあります。)そのシリーズによってはどんでん返しが待っていたり、怖かったり、後味が悪いなと思ったりするようなお話が結構あります。

このシリーズには、学生のころからお世話になっておりまして、よく学校の図書室にて借りて読んでいました。私がこの「5分シリーズ」を読んだのは、表紙がきっかけで「5分シリーズ」の表紙の現実離れしているような不思議なイラストに惹かれて読み始めました。しかも、1話が5分で読めるので、朝の読書、授業の合間の休憩時間に読んでも、1話ごとが途中になることがなく、お話の内容も面白いので、読んでいて飽きないなと思っていました。(現在でも飽きずに読んでおります!)

今回の「5分後に最凶のラスト」は、「5分シリーズ」の中でも、サイコホラーを集めたものとなっており、ゾッとして、背筋が凍ってしまうようなお話しがたくさん書かれています。(世にも奇妙な物語や本当にあった怖い話のような感じ…)
こんな怖い話を思いつく人の考えが一番怖いってことか…

「5分でも大丈夫。短い時間でも、人生変わっちゃうぐらい心を動かすそんなチカラが小説にはある。」(Web河出「エブリスタ×河出書房新社」より)

この情報だらけの現代、「5分」だけ小説の世界に入ってみませんか。あなたの考え方や価値観が変わるかもしれませんよ…

 今年から図書館で働き始めました!まだまだ生まれたてのひよこなので、よろしくお願いいたします!
(中央図書館・通りすがりのCREW)

DOORS 世界のドアをめぐる旅

DOORS 世界のドアをめぐる旅

著者: ボブウィルコックス/作

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これもひとつの旅
出不精だが、旅行雑誌や写真集はたまに見る。どうせ行かないのなら、行けそうもないところの風景が見たい―ということで、選んだのがこの本。タイトル通り、世界各地のドアを収めた写真集だ。
ページをめくる度、形も背景も違うドアが現れる。違う世界につながっているのでは?と想像してしまうような古めかしいもの、一つの作品として見とれてしまうもの、暮らしている(いた)人たちの存在を感じられるもの、実に個性豊かだ。ドアばかりを眺める旅なんてリアルではできない(多分)。
本だからできる、これもひとつの旅だと思う。
(中央図書館・だいず)

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