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動いている庭

動いている庭

著者: ジルクレマン/作

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庭だけど野生。野生だけど庭。
 あの草は取ってこっちの草はそのまま。ここにハーブか何か植える。石ころだらけのあの端っこにはシロツメクサの種を適当にばら蒔こう。庭を眺めてあれこれ考えるのはたのしい。とはいえ、自由放任を旨とする私の「庭作り」は、植えるなり蒔くなりした後は植物任せ。この場所に向いていれば育つし、そうでなければ育たない、その様子を愛でることなのです。
 シロツメクサは、雨のあとすぐに芽を出し、地面をうっすら緑色にします。芽が出るところと出ないところがあったり、時間が経つとまったく別の植物が茂っていたり、シロツメクサはというと別の場所にコロニーを移していたり。見飽きることがありません。

 そんな私の目の前に現れたのが本書でした。
 まず表紙の写真、それはまさに私が理想とする風景。そしてタイトル、それはまさに私が感じていたこと。続いて序文の一行目、「道端で思いがけない庭に出会うことがある。自然が庭をつくったのだ。そうは見えないけれど、こうした庭は野生のものだ。ある手がかり、例えば特徴的な花や鮮やかな色彩のために、まわりの風景とは違ったものになっている。」(p.5)…これぞ私のめざす庭です。

 庭師のクレマン氏はこうも言っています、「時間にゆだねることは、風景にチャンスを与えることだ。それは人間の跡を残しながらも、人間から解放されてもいるような風景を生み出すチャンスである。」(p.9)そして、自身の家での「動いている庭」作りを見せてくれます。おまけに、本書のように一見して固い本を読んだ時に抱きがちな、「これは図なり写真なりで見てみたい…」という欲求も満たしてくれます。(図版がふんだんに使われているのです)
 こうして本書は、私が折にふれ手に取る、大切な一冊となったのでした。
(中央図書館 くろ)

三体

三体

著者: 劉慈欣/作

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読んでから見るか、見てから読むか
映画好きの私には、しばしば課せられる難題があります。
それは、「読んでから見るか、見てから読むか」です。
いつも苦しい決断を迫られます。
既に読んだ作品が映画化された場合は何の問題もありませんが、私が悩むのは見たい映画に原作があると知ってしまった場合なのです。
読んでから見ると、既にストーリーがわかっている分だけ、映画の面白さが半減するのではないかと不安になってしまいます。
かといって映画を先に見ると、その出来映えによっては原作もつまらないかもと思い込んでしまい、読まなくなりそうで不安になってしまいます。
先日もそのような葛藤を経て、「読んでから見た」作品です。現実の物理学や数学の理論も使われていましたが原作を読んでいたことで理解しやすく、たのしんで見ることができました。
今回は、私にはこの順番が正解でした。

あなたなら先に読みますか?それとも、後で読みますか?
(中央図書館 SHITUCYO)

パレスチナのちいさないとなみ

パレスチナのちいさないとなみ

著者: 皆川万葉/作

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心配している、という立場
先日、作家のいとうせいこうさんが、ラジオでこんな話をされていました。

「ある社会問題について取り組む団体のアンケート調査で『賛成』『反対』という選択肢の他に、『心配している』という選択肢を設けていたんですよね。なるほどと思いました。『心配している』『気になってしかたがない』という気持ちに場所をあたえるべきではないでしょうか。」

第三者としてできることのなかに、心配するということがあるのではないか、といとうさんはいいます。

いとうさんには、パレスチナについてのすぐれたルポもあります(*)が、あえて写真家・高橋美香さんのこの一冊を。

ムハマンド(レストラン店員)、ハイサム(ハーブ摘み)、ビリン(床屋)、ジェニン(荷運び)、ナーブルス(キャンディー屋)、ナザレ(クナーファ屋)、タマッラー(布地屋)、ターメル(自動車修理工)……この本にはたくさんのパレスチナの人々の仕事、家族、人生、日常が紹介されています。

読むと、やっぱり心配になります。
いまどうしているかな、と。

*『ガザ、西岸地区、アンマン 「国境なき医師団」を見に行く』(2021)等

(中央図書館 KANCHO)

続窓ぎわのトットちゃん

続 窓ぎわのトットちゃん

著者: 黒柳徹子/作

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語りとしてのトットちゃん
先日、北房図書館の講演会「北房から世界を見てみよう」で、「オーラルヒストリー」という言葉を耳にしました。「オーラルヒストリー」とは、(大雑把な自己解釈ですが)体験者から直接語られた歴史、証言を記録し、まとめたものです。
黒柳徹子さんが、テレビのインタビューで「戦時中は、1日15粒の大豆で過ごすことになり、いつもお腹が空いていた。出征兵士を見送りに行くとスルメの足を1本くれるので参加していたけれど、こんな子ども達のことを思って、頑張って、戦死していたら・・・と思うと今でも責任を感じてといても後悔している」と話されているのを見ました。
戦後最大のベストセラー『窓際のトットちゃん』の続編として、昨年、42年の時を経て発刊された『続 窓際のトットちゃん』には、こうした黒柳さんの生きた「語り」がギュとつまっています。
「オーラルヒストリー」としてこの本を読むと、より現実感を伴った印象になり、深く心に刺さりました。
こうした歴史の地続きの上に私たちは生きているのだと何だか納得し腑に落ちる感覚がありました。
黒柳さんの語りに耳をかたむけてみませんか。
    (北房図書館   sora)

エジプトの女王

エジプトの女王

著者: ナショナルジオグラフィック/作

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前世は女王
私が子どもの頃は、土曜日が半ドン(午前授業で昼帰りのこと)だった。この解放感あふれる土曜日の午後、静かな部屋で読書(マンガ含む)に没頭することを、私は何よりも楽しみにしていた。
その頃の読書体験で今でも強烈に記憶しているのが、考古学者ハワード・カーター氏がツタンカーメンの墓を発見するというノンフィクションだ。
自分も一緒に発掘しているかのようにのめり込み、分厚い本だったと記憶しているが、最後まで一気に読んだ。気付けば部屋の中は薄暗くなっていた。
それ以降、エジプト文明に心酔するようになり、夢にまでピラミッドとスフィンクスが出てきたとき確信した。
「わたしの前世はエジプトの女王だったに違いない」

いつかエジプト考古学博物館に行き、ツタンカーメンの黄金のマスクと対面するのが、私の夢である。
(北房図書館  はにわ)

日本全国地元パン

日本全国地元パン

著者: 甲斐みのり/作

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パン好きも満足のローカルパン情報
レーズンは大嫌いだからそのままでは食べられない、けれどパンと一緒になってレーズンパンになれば食べれてしまう。というかレーズンパンは大好き(そう話すと、まわりからは「変なの~」と言われます)。
そんなパン好きの私が、この本ではじめて知ったのは、岡山のパンとして地元民にはなじみ深い「キムラヤ」の倉敷工場の売店の開店時間。朝6時から夜の10時まで営業しているという事実。それってつまり、どうしても食いとうなったら買いに行けるちゅうことか~!
すぐには手に入らない日本全国の地元パンの情報が満載。
いつか出会える日は来るかしらと、思いをはせつつ、本を眺めるのでした。
(落合図書館 紫)

美しき雅楽装束の世界

美しき雅楽装束の世界

著者: 遠藤徹/作

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一瞬で記憶が甦るもの
学生時代、奈良で「雅楽(ががく)研究会」というものに入部していました。
神社に行くと聞こえてくる“ピヤ~♪”という雅なアレです。入部すると「鳳(ほう)笙(しょう)」(鳳凰に見立てて作られた管楽器)、「篳篥(ひちりき)」(竹でできた縦笛)、「龍(りゅう)笛(てき)」(龍に似せて作られた横笛)の中からまず楽器を選びます。私は鳳笙でしたが高価だった為、当時「南都(なんと)楽所(がくそ)」という雅楽団体の楽頭(がくとう)をしておられた先生が私物を4~5管ほどお貸し下さり、主に奈良の神社やお寺への奉納演奏に向けて練習に励んでいました。
なかでも感動を覚えたのは12月の「春日若宮おん祭」を見学した時でした。御旅所の芝生の舞台の神前にて、神楽(かぐら)の奉納にはじまり田楽(でんがく)や猿楽(さるがく)など様々な芸能が続きます。そして日没後神様がお帰りになる夜中まで、煌びやかな装束を纏った南都楽所の舞楽(ぶがく)がひたすら奉納されます。それを脇から多くの人々がじっと見ていました。
こちらの本の表紙を見た途端その時の感動が一気に甦り、また雅楽の世界に触れたくなりました。
雅楽のことはちょっと・・・という方でも眺めるだけで十分優雅な世界に浸ることができる一冊です。
(落合図書館 わらじ)

選び放題!鍋レシピ250

選び放題!鍋レシピ250

著者: 主婦の友社/作

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我が家の鍋は終わらない
鍋は冬の料理? イヤイヤ我が家は、真夏でもガンガンに鍋料理を食べます。
みそ鍋たらちり、豆乳鍋しゃぶしゃぶ……レパートリーと栄養が豊富♡
料理が苦手な私の得意料理。野菜を切って炊くだけの魔法の料理。
「ぐつぐつ煮える音、漂ってくるおいしそうな香り」
まだちょっと寒い日が続くので、鍋で心も身体もあたためて元気で過ごして下さいね。
(落合図書館 幸)

十年屋

十年屋

著者: 廣嶋玲子/作

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寿命一年分の価値
物が捨てられない。今手放したらきっと後悔する、という思いが消せない。ここ数年「断捨離」という言葉が重くのしかかってくるようになり、いい加減考えを改めないと、と重い腰をあげて片づけるようにしているが、それでもどうしても手放せずに元の場所に戻してしまうものが少なくない。そんな私にとって、この本にでてくる〈十年屋〉は心ひかれる場所だ。望みの物を預かってくれて、期限の十年が来た時に、いらない、と思ったら引き取らなくてもいい。ただしーお代は自分の寿命1年。
もし、〈十年屋〉からお招きのカードが届いたら、私は何を預けるだろう?そもそも寿命1年を払う勇気があるだろうか?そんなことを想像しながら読んでみる。…で、相変わらず片付けられない…。
(落合図書館 だいず)

おさるちゃんのおしごと

おさるちゃんのおしごと

著者: 樋勝朋巳/作

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ステキなおしごと
表紙をみて、おさるちゃんのほっぺのピンクがかわいくて手に取りました。
おさるちゃんは山のみんなの役に立ちたいと選んだ仕事の勉強中です。
仲間と一緒に笑い、悩み、時々失敗したり、悲しい時は涙して。
おさるちゃんをみていると自然と元気が出て、笑顔になれるんです。
誰かの役にたちたいという気持ち、大切ですよね。
私もお仕事頑張ります。
 (久世図書館 SORA)

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