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プロが教える紙パンツと紙おむつの交換法

著者: 境野みね子

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森羅万象
(昨日(下の記事)のつづき)

20代の頃、東京の障害者団体の職員をしていた。
その団体はのちにバリアフリー法や障害者差別禁止法などにつながっていく社会運動を主導していた団体でした。役員は全員障害者、私は団体の事務員であり介助者でもあった(ちょうど30年前で、震災のときには神戸に派遣され、障害者向けのボランティアセンターの立ち上げをしたり)。
働きはじめ数年で重い腰痛になって歩けなくなった。
いま思えば、単純に力任せだった。まだ、高齢者介護含めて、介護は一般的だったとはいいかだい時代で、それぞれ独学という状況だった。

先日、母の介護を少しだけした。大人介護は久しぶりで、どうすればよいのか、試行錯誤だった。ちょっと腰もいたくなった。
正月明け、図書館に戻ると、新刊コーナーにこの本があった。
プロの介護スキルが、全編写真で紹介されている。しかも動画付き(QRコード)。
なるほどこうやればよかったのか。次に活かそう。

「まえがき」より
「排泄介助も同じです。自立支援の考え方のもと、ご本人にできる動作はしていただき、力は最小限にして介助を行っていきます。そのような介助は、ご本人も介助する人もお互いに楽です。」

本人も、まわりの人も、楽になる。というのは、上記、障害者団体で一緒に働いていたときのみんなの願いそのもの。

それにしても、介護ひとつとっても、『シンクロと自由』のように、関係性に注目した本もあれば、この本のように技術にしぼったものなど、それぞれまったく違う視点がある。
「図書館には森羅万象があります」(*)とは、取り扱う話題が多様なだけではなく、取り扱い方も多様だという意味でもあったのか。ふむ。

(中央図書館:カンチョー)

*三年前の赴任時に、U司書が教えてくれたことば。

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シンクロと自由

著者: 村瀬孝生

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はじめての…
年末年始、普段は施設にいる母の外泊を、実家で受け入れた。
ところがインフルエンザに罹患。
高熱でトイレもままならず、はじめて排泄介助をした。
はじめて味わう感情だった。なんだこの気持ち……。

ちょうど村瀬孝生さんの『シンクロと自由』を持っていた。
開いてみると、なんてよいタイミングなんだという記述に出会った。
村瀬さんは、介護のプロで文筆家。認知症のお母さんの介護にも通う。

「介護するために母の体をさわったとき、言いようのない恥ずかしさと生理的な嫌悪が生じた。(中略)かつては、ぼくが手を引かれ、陰部を洗われていた。そして長いあいだ、母もぼくも互いの体にふれたことはない。立場が逆転したことに、ぼくの体が慣れていたいのだ。混乱し、緊張しているのだった。体を委ねる母も、委ねられるぼくも『怖さ』と『恥ずかしさ』を抱えている。」

そうそう〜
ゆらいだ感情に言葉をあててもらった気がして少し落ち着いた。

母は高熱でもうろうとしていたが、そのことで私も母も助かった気がする。

「介護は『仕方ない』ぐらいがちょうどいい」と村瀬さんは言う。

「排泄の失敗に遭遇したとき、介助者はどのような態度で登場すればよいのだろうか。
『喜んで』といった感じだと腹が立つ。『お気の毒』では救われない。『かわいそう』は居たたまれない。心を込められると、かえってつらく感じるのはぼくだけだろうか。(中略)『仕方ない』には、受容や共感とは異なる肯定がある。(中略)ふたりで、ひとつの行為をやり遂げるには「仕方なさの合意」から出発すると気楽だった。」

なるほど。


というわけで、心構えの方向性は見えた(たぶん)。
しかし、すぐ腰が痛くなってきた。
ううむ。シンクロするには、介護スキルが圧倒的に不足してる……(つづく)

(byカンチョー)

岩合光昭×ねこ旅

岩合光昭×ねこ旅

著者: 岩合 光昭

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一瞬をつなぐ
蒜山が白に包まれる季節
寒樹は氷の蕾をつけます

一瞬のきらめき

揺れるまなざし

もう少し 一瞬に残りたい

そんな願いを叶えるため
記録する技術は発展してきたのかもしれません


旅先で出会ったねこの写真を集めた本書
ページをめくるたび
あたたかな想いに頬がほころびます。

著者の岩合光昭さんは、旅のおわりに…の中で、
ねこへの感謝の気持ちを綴っています。

 過ぎ去っていく一瞬を
 少し先の自分と分かち合う

日々を丁寧に過ごす著者の姿勢に心が震えます。


輝く蕾 ほころぶころ

振る得る想い 実ちる胸はる

(蒜山図書館・道留)

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高野山

著者: Kankan

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信心深くない私は修行が足りない
私は全く信心深くないが、田舎の昔ながらの家に嫁いだため、神仏の祀り方は一通り叩き込まれている。
嫁いだと同時に姑は他界し、我が家の神事仏事は私が取り仕切るしかないと腹を括った。
しかし、実家は神仏を祀っておらず地域も違えば、分からない事だらけで途方にくれた。
そして信心深くない私は、「なんでこんな事せんといけんの?」とバチ当たりな事を何度も思った。神様ご先祖様すみません。
そんな気持ちで法事に望んでいる時、我が家の菩提寺の住職は決まって私を諭すようにお説教して下さる。
まるで私の気持ちを見透かしているようだ。(表情にダダ洩れなのだろう)
住職は非常に徳がありカリスマ性のある方だ。
若いながらも充分に修行を積まれ檀家からの信頼も厚いが、ここ何年かは高野山に何度も行って更に修行を積み、ますます読経の声も響きが良くなっている。
イキイキとした目で高野山での修行のようすなどを話される住職を拝見するうちに、私もなんだか高野山に行ってみたくなった。
高野山に行きさえすれば少しは信心も深まり、心清らかになるかも・・・と安易に煩悩丸出しで思うのである。
しかしこの本の表紙の大日如来にはこう言われるだろう。
「おまえはまだまだ修行が足りぬ」
(北房図書館・はにわ)

探テク

探テク

著者: 小林 シンヤ

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こんな経験ありませんか?
つい先日、お気に入りのピアスをつけようと思い、いつもの場所を探したが見つからない。今回は急を要する事態ではなかったが、「モノを失くして焦って探す」という経験は誰にでも起こりうることである。特に急いでいるときや大事なものが見つからない時の焦燥感は、思い出すだけでも嫌な汗が出る。そんな場面が度々ある人におすすめしたいのがこちら。

本書ではモノの探し方のテクニックを中心に、失くす原因や失くさないための整理術などもあわせて紹介されている。
探し方も写真やイラストで分かりやすく、そしてマニアックに紹介しているため、段々と「探すのって楽しいかも」という気にさえなってくる。「失くしたモノをゼッタイ見つける方法」というサブタイトルも、よく物がなくなる私にとってはなんとも心強い言葉である。
読んでおいて損はないとっておきの1冊。

ちなみに冒頭のピアスは、本書を読んで学んだテクニックで探索すると、その時使っていたカバンの中に入れていたポーチの中のポケットに入っていた。見つかって良かった〜〜!
(湯原図書館・ノサミ)

名医が教える!目のトラブル解決大全

名医が教える!目のトラブル解決大全

著者: 平松 類

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目は口ほどに年齢を物語る
ヨラコはあせっていた。なぜならばこのpickupの〆切がとっくに過ぎていたからだ。何を読もう……そしてふと思い出した。そうだ、私はノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの作品、『菜食主義者』が気になっていたのだ。韓国の文学を読みたいと思ったのは『宮廷女官チャングムの誓い』以来だ(ミーハー)。そう思っていたら、タイミングよく返却があり、どれどれと思ったのも束の間、気がつけば一緒に借りた目のトラブルについての本ばかり読みふけっていた。(読みふけるほどなのか?)いや、それほど我が目が深刻なのである。人は誰しも老いには逆らえない。が、それにしても目の老化がこれほど早いとは…いかに目を酷使してきたのか今となっては我が目に謝罪したい。きっと長きにわたるコンタクト生活もよくないのだと思いたち眼鏡を新調した。しかし、あまりにもレンズの度がきついせいか、眼鏡をかけたら顔の幅の一部が狭くなるという奇怪な現象が起きたため、眼鏡姿は門外不出となった。
この本には、目の痒みや充血など日常的に起こりやすい症状や対処法、白内障や緑内障など放っておいたら深刻化する病気への注意点など分かりやすく書かれている。何より全ページ、目を細めることなく読める文字の大きさが嬉しい。よし、これからは目を労わる生活を心掛けようと固く心に誓った矢先、冒頭の目の年齢チェック項目で、もし目を凝らしても見えない文字がある場合は早めに眼科を受診しましょうという記述が…どうしても1つ見えない文字があることに戦々恐々とするヨラコであった。
次回は、「ヨラコ、菜食主義者」を読む お楽しみに。
(中央図書館・ヨラコ)

神社のえほん

神社のえほん

著者: 羽尻利門

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知らないことほど怖いものはない。
図書館のおすすめ本の原稿の締め切りがお正月明けだと気づいた。掲載日が歳神様をお送りする“とんど”の日でもあり、こちらの本にしてみた。小学生の男の子がいつも家族と特別な日にお参りする、地域の氏神様に初詣に来たところから始まる“えほん”である。
最近は見かけないが、私が子どもの頃は神社の境内は子どもたちの恰好の遊び場であった。皆で鬼ごっこやかくれんぼをしたり上級生たちは絵馬殿入口前をバッターボックスに、皆で野球をしていた。絵馬殿のガラス戸にボールが当たって割れてからは取り外し可能な球除けネットがいつの間にか用意されていた。
とある宮司さんは子どもの頃、狛犬にまたがり遊んでいたのだと恥ずかしそうにおっしゃっていた。聞いた途端に固まってしまったが、そんな私もご神木である大木の割れ目まで駆け登れるかを小学生の頃、友達と競って遊んでいた。知らなかったとはいえ今思うと失礼なことをしてしまった。
この本には見開きに、“神社にあるものは、一つ一つ意味がある。日本の伝統文化を知る絵本。”とあり、ひとつひとつのお祭りの意味や神社ができた経緯など、昔から大切にされてきた日本文化について丁寧に説明がされている。むしろ大人にこそ読んでほしい“えほん”である。
そしてまた子供たちにも神社で遊んだ楽しい思い出をつくってほしい。
(落合図書館・わらじ)

江戸の女子旅

江戸の女子旅

著者: 谷釜尋徳

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まずは体力づくりから
出不精で方向音痴のわたしは旅というものにあまり縁がなく、県外に最後に出たのはいつだったかしらん?というほどなのだが、江戸時代の女性たちは徒歩で長距離旅行を楽しんでいたらしい。人のみやげ話を聞くのが好きなわたしは、はて、今より旅に出るのも大変な時代、どんな旅を?と思い、読んでみることに。
女性の立場的にも金銭的にも気楽に旅ができない江戸時代では、目的地はもちろん、行きも帰りもルートを変え道中も遊びつくすというスタイルが主だったようで、道中の食事やショッピング、芝居見物や名所観光など時間をかけて楽しんだ様子が日記や帳簿から伺える。1日何十㎞の徒歩移動、さらには関所や難所など困難や苦労も多けれど、それをうわまわるよろこびも得られたのであろう江戸時代の女子旅、元気な女性たちの姿が想像できるのである。
一方、1日7000歩歩けていれば御の字の現代のわたしは旅の楽しさを得るべく、遠い地の旅行記を読むのであった。(落合図書館・ジジ)

観葉植物を枯らさないための本

観葉植物を枯らさないための本

著者: ヴェロニカ・ピアレス

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私枯らす人です…が…
部屋中を植物でいっぱいにしたい!なんてそんな大それたこと思っておりません。
一鉢お世話をして癒されたい…と思うのに枯らしてゆく私。
そんな私にも育てられるのではないかと夢を抱かせてくれる本がこちらです。
まず買う店や植物の選び方、置き場所、水のやり方など、一連の作業について丁寧に教えてくれます。
そしてその後人気の観葉植物116種について個別お世話ポイントと共に解説。
何だかやれる気になってくる!
見ているだけで満足できるほどの写真・イラストの美しさも魅力です。
(久世図書館・N)

もったいないじいさん

もったいないじいさん

著者: 今井 美沙子

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これ読んでみねえ
「なんか面白い本ないかな。気軽に読めて、笑えるようなのがええんじゃけど。」
この問いに対して、司書の脳裏に浮かぶのがこの『もったいないじいさん』です。この本を知ったきっかけは、美甘図書館の利用者さんが「これ面白かった~!」と教えてくれたことです。
もったいない、という気持ちは誰でも持っていますよね。例えば私は何年も着ていない服を捨てられません。しかし、この本に出てくるおじいさんは“もったいない”のレベルが違います。魚の骨を乾燥させて出汁を取るのに使ったり、ティッシュの代わりに切った新聞紙を持ち歩いたり、布団を30組押し入れに保管していたりするのです。
そんなぶっとんだおじいさんのエピソードを読んでいると、驚き、呆れ、笑ってしまいます。本書を借りた利用者さんが、偶然居合わせた別の利用者さんへおすすめしている場面もありました。
「あんたもこれ読んでみねえ。」
( 美甘図書館・かも )

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