Pick up

神社のえほん

神社のえほん

著者: 羽尻利門

詳細情報

知らないことほど怖いものはない。
図書館のおすすめ本の原稿の締め切りがお正月明けだと気づいた。掲載日が歳神様をお送りする“とんど”の日でもあり、こちらの本にしてみた。小学生の男の子がいつも家族と特別な日にお参りする、地域の氏神様に初詣に来たところから始まる“えほん”である。
最近は見かけないが、私が子どもの頃は神社の境内は子どもたちの恰好の遊び場であった。皆で鬼ごっこやかくれんぼをしたり上級生たちは絵馬殿入口前をバッターボックスに、皆で野球をしていた。絵馬殿のガラス戸にボールが当たって割れてからは取り外し可能な球除けネットがいつの間にか用意されていた。
とある宮司さんは子どもの頃、狛犬にまたがり遊んでいたのだと恥ずかしそうにおっしゃっていた。聞いた途端に固まってしまったが、そんな私もご神木である大木の割れ目まで駆け登れるかを小学生の頃、友達と競って遊んでいた。知らなかったとはいえ今思うと失礼なことをしてしまった。
この本には見開きに、“神社にあるものは、一つ一つ意味がある。日本の伝統文化を知る絵本。”とあり、ひとつひとつのお祭りの意味や神社ができた経緯など、昔から大切にされてきた日本文化について丁寧に説明がされている。むしろ大人にこそ読んでほしい“えほん”である。
そしてまた子供たちにも神社で遊んだ楽しい思い出をつくってほしい。
(落合図書館・わらじ)

江戸の女子旅

江戸の女子旅

著者: 谷釜尋徳

詳細情報

まずは体力づくりから
出不精で方向音痴のわたしは旅というものにあまり縁がなく、県外に最後に出たのはいつだったかしらん?というほどなのだが、江戸時代の女性たちは徒歩で長距離旅行を楽しんでいたらしい。人のみやげ話を聞くのが好きなわたしは、はて、今より旅に出るのも大変な時代、どんな旅を?と思い、読んでみることに。
女性の立場的にも金銭的にも気楽に旅ができない江戸時代では、目的地はもちろん、行きも帰りもルートを変え道中も遊びつくすというスタイルが主だったようで、道中の食事やショッピング、芝居見物や名所観光など時間をかけて楽しんだ様子が日記や帳簿から伺える。1日何十㎞の徒歩移動、さらには関所や難所など困難や苦労も多けれど、それをうわまわるよろこびも得られたのであろう江戸時代の女子旅、元気な女性たちの姿が想像できるのである。
一方、1日7000歩歩けていれば御の字の現代のわたしは旅の楽しさを得るべく、遠い地の旅行記を読むのであった。(落合図書館・ジジ)

観葉植物を枯らさないための本

観葉植物を枯らさないための本

著者: ヴェロニカ・ピアレス

詳細情報

私枯らす人です…が…
部屋中を植物でいっぱいにしたい!なんてそんな大それたこと思っておりません。
一鉢お世話をして癒されたい…と思うのに枯らしてゆく私。
そんな私にも育てられるのではないかと夢を抱かせてくれる本がこちらです。
まず買う店や植物の選び方、置き場所、水のやり方など、一連の作業について丁寧に教えてくれます。
そしてその後人気の観葉植物116種について個別お世話ポイントと共に解説。
何だかやれる気になってくる!
見ているだけで満足できるほどの写真・イラストの美しさも魅力です。
(久世図書館・N)

もったいないじいさん

もったいないじいさん

著者: 今井 美沙子

詳細情報

これ読んでみねえ
「なんか面白い本ないかな。気軽に読めて、笑えるようなのがええんじゃけど。」
この問いに対して、司書の脳裏に浮かぶのがこの『もったいないじいさん』です。この本を知ったきっかけは、美甘図書館の利用者さんが「これ面白かった~!」と教えてくれたことです。
もったいない、という気持ちは誰でも持っていますよね。例えば私は何年も着ていない服を捨てられません。しかし、この本に出てくるおじいさんは“もったいない”のレベルが違います。魚の骨を乾燥させて出汁を取るのに使ったり、ティッシュの代わりに切った新聞紙を持ち歩いたり、布団を30組押し入れに保管していたりするのです。
そんなぶっとんだおじいさんのエピソードを読んでいると、驚き、呆れ、笑ってしまいます。本書を借りた利用者さんが、偶然居合わせた別の利用者さんへおすすめしている場面もありました。
「あんたもこれ読んでみねえ。」
( 美甘図書館・かも )

裸の大地 第一部 狩りと漂白

裸の大地 第一部 狩りと漂白

著者: 角幡 唯介

詳細情報

本の中の冒険
 読書の醍醐味は、自分の知らない世界を体験したり、知ることができたりすること。その最たるものが冒険小説や冒険記。
 私も小さい頃から、犬ぞり、南極、航海記や、C.Wニコル、星野道夫、コロンブスなど、さまざまな冒険の本を読んできました。わくわくはらはらしながら、雄大な自然を想像して、行ってみたいと思ったり、いやいや無理無理と思ったり(笑)。小学生時代は、本に感化されるとすぐ地図(自作)を持って山の中に入ったり、川を歩いて行ける所まで行ってみたりとほんとうに冒険していました。
 そんな私も、大人になった今ではまーったく冒険しなくなりました。でも、まだ本の中では冒険しています。
 最近のお気に入りは角畑唯介さん。こんなに自由に旅する人を私は知りません。この本の場合は、マイナス40℃の極北の地で地図なしで、犬ぞりで「漂流」(=目標をもたない旅)、食料は基本的に現地調達(狩り)など。こんな「自分を追い込みまくる旅行スタイル」には毎回、度肝を抜かれます。
 自然をがっつりと身近に感じられて、癒やし効果もありますので、普段、冒険記なんて全然読んだことがない人にもおすすめです。
 みなさま2024年も一年間図書館をご愛顧いただきましてありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
(中央図書館・イミ)

デコる!学ぶ!推す!楽しいが広がる趣味手帳のはじめ方

デコる!学ぶ!推す!楽しいが広がる趣味手帳のはじめ方

著者: KADOKAWAライフスタイル編集部/編

詳細情報

見返すのも楽しそう
皆さんはもう来年の手帳が決まりましたか?
私はいまだにビビッとくるものがなく、手帳売り場を見かけるたびにうろうろとさまよっています。

ちなみに2024年の手帳は携帯性重視で、超薄型かつ超小型のものをポケットに入れて持ち歩いていました。
おかげでメモ帳としては大活躍でしたが、手帳として有効活用できていたかというと……。

一度はこうやって、好きなものをいっぱいに詰め込んだ自分だけの手帳を作り上げてみたいなあ~って。
思ってはいるんですけどね。

(蒜山図書館・888)

しんかんせんでいこう 日本列島北から南へ 日本列島南から北へ

しんかんせんでいこう 日本列島北から南へ 日本列島南から北へ

著者: 間瀬 なおかた/作・絵 山崎 友也/監修

詳細情報

3世代で楽しんだ絵本!
私の兄家族が岩手県盛岡市に住んでいるので、母、娘(7歳)、息子(3歳なったばかりのイヤイヤ期真っ只中)、私の4人で新幹線に乗って盛岡市へ行くことに。
岡山から東京までのぞみ約2時間半、東京から盛岡まではやぶさで2時間の諸々の時間合わせ約片道6時間の旅へ。
乗り物の好きな息子は終始テンションが上がり、おしゃべりが止まらず、し~っと言えば反抗してくる、行きから体調不良になった娘は、新幹線から富士山を見ることと駅弁を食べることをすごく楽しみにしていたが、新幹線でずっと寝ていて叶わず、、、。
やんちゃな息子がまわりの人に迷惑がかからないように気を使いながら、体調の悪い娘を心配しながら、母とどうなることやらと新幹線に乗り続けようやく盛岡駅に到着。
娘は年の近いいとこに会えて気分もよくなり元気に遊べて、息子もいとこたちについて遊んでいいこになり、大変だったけど本当につれてきてよかったねと母とほっとした。
兄家族に会うことが目的の旅行なので、観光地には全然行かなかったけど、初めていく東北地方の空気感だったり、小岩井農場の牛乳、盛岡冷麺、大谷翔平選手も愛した福田パンが美味しかったり、宿の温泉が気持ちよかったり、新幹線のこまちとはやぶさが見えたこと、短い時間でぎゅっと楽しむことができた。何より兄家族に会えたことや、子どもたちが喜んで遊んでいる姿が1番!

そして、今回紹介する本。私たち盛岡旅行メンバーに大ヒットの絵本
「しんかんせんでいこう 日本列島北から南へ 日本列島南から北へ」
著者は間瀬なおかた先生。絵もすごくきれいでかわいらしく、そしてとてもリアル。乗り物関係の絵本を沢山描かれています。
この絵本のすばらしいところは「表紙から読むと北海道から九州へ、
裏表紙から読み始めると九州から北海道へ」と、どちらから読んでもつながっています。
そして登場するのは新幹線だけではなく各地の在来線、私鉄まで、細かに描かれています!
なじみのある姫新線や、学生時代を思い出す山陽電鉄、阪急電車、、、。
絵本なので子どもたちと一緒に楽しみました。
母も地図代わりにこの絵本で新幹線の予習をしたり。
大人のみなさん、子どものみなさん、新幹線で旅する時はぜひこの本を♪
(中央図書館・あいすろいみ )

日記の練習

日記の練習

著者: くどうれいん

詳細情報

いったい誰と比べているのやら…。
実は日記をつけている。
始めては止め、また始めて、を繰り返してきたが、現在は「5年連用日記」の4年目。自分史上最長記録更新中だ。
飽きっぽいのと、気が乗らないと書けないのと、書けると思っている理想の文章と実際に書いたものとのギャップが許せないのであまり書きたくないのだが、書くこと自体はきらいではない。
小学校高学年から中学校の頃はいつも何かしら書いていた。授業中には友達に手紙を書いて回したし、クラス替えがあるたびに「プロフィール帳」を書いたし、もちろん交換日記も。そういえば、昭和の小学生は作文もやたらと書いていた(ですよね?)。
実家が引っ越すことになり、荷物を片付けていたら、小学校のクラスの作文集が出てきた。私の作文はというと「お母さんがケーキを焼いてイチゴと生クリームでデコレーションしてくれました。とてもおいしかったです。」などという完全な創作(大嘘)。何を書いていたのやら…。
「おもしろいから書くのではない、書いているからどんどんおもしろいことが増えるのだ」という、くどうれいんさんのウェブ連載日記をまとめた『日記の練習』には、「ぴかっ」と目に入ってくる文章や言葉がつまっている。彼女が考えていることや出てくるエピソードも、私とさほど変わらないのに(←言い過ぎ!)、こういうふうに書けるのかと思う。比べる意味が分からないと思うが、すごいのだ。そしてぽつりぽつりと「わたしってうるさいな。と思い、落ち込む。」という一文が出てきて、「だよねー」と自分の日記を読み返している気分になったりする。(中央図書館・くろ )

消えた映画館を探して

消えた映画館を探して

著者: 鷹取洋二著

詳細情報

May the Force be with you
私が本格的に「映画」というものを見始めたのは、1978年の夏、13歳の夏休みのことです。姫路の叔母に連れられ、従兄弟と大画面のスクリーンで見た「スター・ウォーズ」は私に感動と衝撃を与えました。
同時に、これが楽しみと苦難の始まりでもありました。
当時はネットもないので「ロードショー」や「スクリーン」といった月刊誌を情報源に公開される作品を調べ、近場でも津山、上映されていなければ岡山まで足を運ばなくてはなりません。時間もお金も伴いますので中高生の少年には厳しい環境でしたが、相当諦めの悪い私はアルバイトに励み、毎月1回のペースで遠征していました。
今は新作でもすぐにネット配信で視聴できるようになりましたが、県内の映画館の多くはシネコンになり、津山では映画館も閉館し15年以上経過している昨今です。
本書には私がかつて通った映画館が掲載されていました。鑑賞した映画とともにいっしょに見に行った友人達の顔、市内になかったマクドナルドを食べたこと等懐かしく思い出されました。さらに読み進めていくと自分が生まれる前には真庭(勝山・落合・久世・湯原)にも小規模ながらもそこそこ映画館があったことを知り驚きました。 
様々なエンタテイメントがあふれる令和の時代には、映画館に足を運ぶ人も少なくなっているようです。
でも、大きなスクリーンで大勢で見る映画は感動もひとしおです。
今後の映画の復興に「May the Force be with you」と思い、願うところです。
(中央図書館・SHITSUTYO)

人生下り坂最高!

人生下り坂最高!

著者: 火野 正平・NHKチームこころ旅著

詳細情報

ギアチェンジ
40代半ば、小さな字が読みずらくなった。
もしかして老眼?
これ?人生の後半ってこと?え?……自分でも驚くほど動揺をした。
そんな時にはじまった番組が『こころ旅』だった。
「あの場所を訪ねてほしい」と届いた手紙の風景を俳優の日野正平さんが自転車で訪ね歩く人気旅番組。
毎朝15分のゆっくりした時間。

「なるべくがんばりたくない」という正平さん。
上り坂では、「軽トラック来ないかな(のせてもらいたい)」とつぶやく。
「ファンです」という女性と握手しながら「(握手だけで)妊娠するで」と笑う。
おいしそうにそのまちの中華屋でラーメンを食べる。
動物、植物、風景、そして、人、そこにあるもの、そこで起こったことを楽しむ。
そして、心あたたまる手紙。
番組のキャッチフレーズは、火野さんが番組の初期につぶやいたひとこと
「人生、下り坂最高!!」
この言葉にははげまされた。
「そうか、下り坂にしか見えない風景があるのかもしれない」と。

番組開始から14年で終了となってしまった。
私も番組と一緒にゆっくりとギアチェンジしてきた。
下り坂だっていろいろあるんだなと知った14年だった。
若いころはプレイボーイで名を馳せた火野さん、
この本でもちょっとやんちゃな書きぶりが楽しい。

 「こころ旅」を続けて、人がいい印象を持ってくれることに、
  心のどこかっで「ちゃうわい」と思っているおれがいる。
  不良でいたい。
  立派な不良になりたい。

この一文のあとに、ご自分の「死に方」の予想を書いている。
あっていたかどうか、それは読んでのお楽しみ。
正平さん、毎朝、ありがとうございました。

(中央図書館 カンチョー)

PAGE TOP