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植物たちのフシギすぎる進化

植物たちのフシギすぎる進化

著者: 稲垣栄洋

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いろいろある
いろとりどりの傘が揺れる季節
見慣れた景色に生まれた距離
翠雨が織りなす みずわ

なみうち
つながり
カタチをカエル

多種多様な植物の進化を紹介する本書

著者の稲垣さんは、
「違いは必要だから存在する」と語り、
真の意味の「多種」「多様」とは何か…
を問いかけます。

厳しい環境で
いろいろあることを讃えあい
進化する
たおやかな植物の姿に魅了されます。

渦く水面 描き見る
切なに過ぎ去り 多知仰日(タチアオイ)

ゆれるマナー

ゆれるマナー

著者: 青山七恵、戌井 昭人、著 小川 糸、 温 又柔、 恩田 侑布子、 白岩 玄、服部 文祥、松家 仁之、 宮内 悠介

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マナーはわきまえているつもり
マナーにちなんだごく短いエッセイが軽く読めるこの本、就寝前にぴったりである。
寝落ちする前に1篇をちょうど読み終える長さで、毎晩読んでいる。
だが、なかなか1冊が読み終わらない。
最近起きたできごとを、私もマナーにちなんで書き記したい。

先日、15年ぶりに結婚式に招待され、家族5人で参列してきた。
会場となる県南の某結婚式場は気後れしてしまうほどオシャレで格調高く、緊張した面持ちの我ら。
披露宴が行われる部屋にはシャンデリアが輝き、随所に凝った装飾も美しく華やかなことこの上ない。
いよいよ披露宴が始まった。乾杯の後は普段見ることも口にすることもない豪華な料理が次々と出てくる。
我々はおもむろにナイフとフォークを手にし、テーブルマナーにのっとりぎこちなく食べ進める。
もちろんどれもこれもおいしいのだが、私は着物で参列したために胃の辺りを何本もの腰紐できつく締めあげられており、思うように食事が喉を通らない。
しまった。着物なんて着て来なければ良かった。
しかし、こんなご馳走を食べる機会はもうないかもしれない、と必死に食べ進める。
ワンピース型のドレス姿で臨んだ娘は、悔しいくらい余裕の表情だ。
ふと見ると隣の夫が、ヒレステーキ肉を切り分けるのに苦戦している。
どうしたのだろう、こんなに柔らかいお肉なのに、と思っていると、娘がすかさず「さかさまだよ」と小声で冷たく言い放つ。
老眼が進んでいる夫は手元が良く見えず、なんとナイフの背でお肉を切ろうとしていたのだ。
気まずそうに夫はそっとナイフの向きを変えた。
そしてステーキと一緒に運ばれてきた、白い半透明でふわふわしたものに話題が及んだ。
夫に小声で、「これなんじゃろう?」と聞くと、
「大根おろしじゃがな。ステーキにかけるんじゃろう。」と夫。
ソースはかかっているが、大根おろしが付け合わせなのだろうと納得したところで、娘がぴしゃりと「シャーベットだよ」と言う。
口に入れると確かに冷たいシャーベットであった。
私たちは顔を見合わせ、黙ってシャーベットを口に運んだ。
華やかな宴が終わり、帰路、夫は聞こえないくらいの小声で言った。
「やっぱり白いご飯と漬物が一番じゃな」
私は黙って強く頷く。
披露宴会場では言いたくても言えなかった本心を、車中でそっとつぶやいた我々はマナー違反ではないだろう。
(中央図書館・はにわ)

黒部源流山小屋料理人

黒部源流山小屋料理人

著者: やまとけいこ

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「おいしいごはん」への憧れ
気付くと○○部の寮生活の食事風景、職業人のごはん、著名人の朝ごはんのような動画を見ている時がある。私はどうやら人のごはん風景に興味があるらしい。ということで山小屋でのごはん事情がわかるこの本は気になるところなのである。
ワンシーズンに食材の調達手段はヘリ輸送の2回ということで、限られた調理環境や食材で登山客や自分たちの食事をまかなわなければならないのだが、食材の活用法や保存方法のアイデアは日常でも生かせそうなものも紹介されていたり、失敗談は下界では見られない山の中特有のエピソードだったりである。紹介される料理の数々は著者の丁寧でやさしいタッチのイラストもあいまって食を大切にする気持ちがうかがえる。
体を動かした後に大自然の中でいただく食事、となればおいしくないわけがない。最近「おいしい」と感じたご飯を食べただろうか…?山に囲まれた土地に住んでいながら家と職場の往復でお花見も行かないインドアの私は自然を感じただろうか…?
よし、今度の休みは庭の草取りをした後にでも外でおむすびでも食べてみようとこころに誓うのである。(天気が良かったら)
(落合図書館・ジジ)

早口ことば遅口ことば

早口ことば遅口ことば

著者: 加藤俊徳

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ヨボヨボ脳を予防!…したい!
「言いたい言葉が出てこない」
「『えーと…』が多い」
「さっき聞いたことをもう忘れている」

「これらのことは、一度や二度は誰しもが経験しているでしょう」と著者は言う。
私の場合は、毎日だ。最近の私の物忘れの多さといったら…脳の回転数は下がる一方である。

本書によると、なんと口を動かす(音読する)と、右脳も左脳も活性化され働きが良くなるという。
「早口ことば」(=早口で音読する)と「遅口ことば」(=ゆっくり音読する)の脳回路はまったく違うという。それゆえ、この両方をやると、脳がまんべんなく活性化されるのだとか。

この本の良いところは、最初に音読が脳に与える効果とその理論を簡潔に述べ、その後はどんな言葉をどのように発すると良いかひたすら例文を挙げてくれているところだ。
脳の回転数の少ない私にとってはありがたい。
やってみようかしらという気になった。
例文の内容的からあきらかに上の年代をターゲットとされていることが類推される。

やってみると、滑舌が良くなり、若返った……気がした。
(久世図書館・N)

ゼラチン・寒天・アガーで作る、おいしい新食感 季節のゼリースイーツ

ゼラチン・寒天・アガーで作る、おいしい新食感 季節のゼリースイーツ

著者: 大越郷子

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愛しの寒天
お花見の時期はもう過ぎてしまったが、この本を見て子どもの頃の「お花見弁当」を思い出してしまった。
「え?お花見弁当にゼリー??」と思われそうだが、寒天のほうである。
私が生まれ育った地域(真庭市の某地域)では、「お花見弁当」には寒天は欠かせないものであった。岡山市から嫁いできた母は、初めて長男のお花見弁当を作った日、そんな風習など知るはずもなく、後から聞いて驚いたらしい。とはいえ私は三番目の末っ子なので、初回からしっかり寒天が入っていた。
子どもの頃、私は近所の友達5人とよくお弁当をもってお花見をした。3日連続ですることもあった。それぞれのお弁当にももちろん寒天が入っていた。無色透明だったり赤い透明だったり、サクランボが入っていたりと家によってそれぞれである。
私は寒天にはちょっとうるさく、3日連続のお花見弁当に「牛乳寒天に明日は八朔(はっさく)入れて!」などと、今思うとかなり面倒くさい注文をしていた。それこそ、この本ではじめて知ったのだが、ゼラチンは常温で溶けるのに対し、寒天は常温でも溶けないらしく、まさにお弁当には最適だったのだ。そしてさらに柑橘類を入れると、寒天は固まりにくいらしい・・・。
今更ながら母に申し訳ないことをしていたようだ。
罪滅ぼしに、便秘で食欲のない母の為、この本に載っていた梅酒のゼリーならぬ、梅ジュースの寒天を作ろうと思うのである。
(落合図書館・わらじ)

ビジネスマン超入門365

ビジネスマン超入門365

著者: 林 雄司

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タイトルだけで誤解しないで
新年度から早2週間が経とうとしている。この度、新社会人になった人も多いのではないだろうか。そろそろ職場の雰囲気に慣れてきたかな、という人におすすめしたいのがこちら。
タイトルだけ見るとお堅い本のように思えるが決してそんなことはなく、ビジネスの場において大切な知恵の数々が365日分ゆる~く収録されたビジネス書である。1日分が5行程度という短さで構成されており、絵本のように気軽に読むことができるのがポイント。
さらに、各トピックスにはクスッと笑える林さんの一言とヨシタケシンスケさんのイラストが描かれており、こちらも合わせて読んでいただきたい。
365日分あることにより、自分の誕生日や今日の日付など、目に付いたページを見るだけでも楽しむことができる。
ちなみにこの記事が掲載される4月19日は「用語:オーソライズ。ホワイトボードに自分の都合のよい意見だけ書いて、議事録にして送ること。」それに対する林さんの一言は、ぜひ読んで確認していただきたい。
(湯原図書館・ノサミ)

おだまり、ローズ

おだまり、ローズ

著者: ロジーナ・ハリソン 著

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信頼関係があってこそ
蔵書点検で館内の本を読み込んでいたときに見かけて、思わず手が止まってしまったこのタイトル。なかなか分厚い本ですが、読んでみたら期待を裏切らない内容でした。

「ウィットに富む」ってこういうものを言うのでしょうか。
20世紀前半のイギリスで子爵夫人に仕えたメイド・ローズの回顧録なのですが、メイドになる前、序盤の子ども時代の章からもう切れ味が鋭い。
型破りな子爵夫人のもとに来てからはさらに痛快で、その生活と二人のやりとりを垣間見ているような読者としてはニヤニヤしっぱなしです。扱いにくいと評判の主人を相手に、物おじしないどころか口答えして口論するローズもかなり型破りなのでした。

当時の貴族の生活を知りたいあなたにもおすすめですよ。
(蒜山図書館・888)

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

著者: 松本 俊彦/横道 誠

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「ダメ。ゼッタイ。」で、いいのか。
だめだと思いながらやめられないこと、ありますよね。例えば、ブラックコーヒーを一日何杯も飲む、タバコを吸う、お酒をたくさん飲むことなどです。健康のためにやめたい、でも自分ではどうすることもできない、そんな依存症に関する本です。
「ダメ。ゼッタイ。」と強い言葉で突き放す本ではありません。アルコール依存症である文学研究者とニコチン依存症の精神科医が、自身の経験や考えを赤裸々な言葉で綴る往復書簡です。
当事者であり、専門家でもある二人のやり取りから、依存症に対する認識が変化しました。これまでマイナスなイメージを持っていましたが、依存症は苦痛の緩和なのではないか、という視点は新しい発見でした。傷ついた心や孤独が根底にあって、なんとか自分を立て直すために人は何かに依存しているのかもしれません。
( 美甘図書館・かも )

満月珈琲店

満月珈琲店

著者: 桜田千尋 作・絵、望月麻衣 文

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ちょっと一息つきませんか。
 ある日、お家でまったりとしているときにきれいなイラストと物語が読める落ち着いた絵本みたいな本はないかなとスマホで探してみたら、この本が出てきました。
 疲れた人だけがいける満月珈琲店にはいろんなお客さんが訪れます。近所に住んでいるお兄ちゃんに失恋した女の子。挫折をした元アイドル。仕事を辞めたサラリーマン。最愛の人を亡くした女性の春夏秋冬4つのお話で構成されているイラストストーリー集です。
三毛猫のマスターが満月珈琲店に訪れた人のために、スイーツやフード、ドリンクを提供してくれます。マスターが提供してくれる「満月バターのホットケーキ」、「天の川ミルクティー」、「水星のアイス」などの料理の名前に天体や天候が入っているのが素敵で、私も食べたいな、私が行ったらどんな料理をマスターは出してくれるのかなと思わせてくれました。
 満月珈琲店は満月の夜にさまざまなところに現れます。あなただったらどこに現れてくれたらいいなと思いますか。また、猫のマスターに何の料理を作ってもらいたいですか。
(中央図書館・通りすがりのCROW)

夜は猫といっしょ

夜は猫といっしょ

著者: キュルZ(ゼット)

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さば・とら・きじならあるのかも?
「ザラザラの舌によるグルーミングは痛い」「狭くとも頭が通れば通り抜けられる」……などなど、本書は猫あるあるをリアルに描く短編マンガ集。

主人公の兄妹フータくんとピーちゃんは一緒に暮らしている。その猫の名前は「キュルガ」。この少し不思議な名前の由来は「QRコード画像」から。ある日、ピーちゃんがスマホで猫を写真撮影すると、猫の頭の柄をなぜか二次元コードとして認識してしまった。

実は、私も同じようにうちの猫(「ギーちゃん」)を撮っていて、突然QRコードを読み取ったことがある。何のサイトに飛ぶのだろうか?と、ちょっとワクワクしながらクリックしてみると、某「現場を支えるネットストア」の画面に切り替わった。
「ギーちゃん、あんた○○タロウだったん…」

そんなわけで本書は、猫好きのあなたなら、いちいち「たしかにー」となるはず。夜のお供にいかがですか。
(中央図書館・みーやん)

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