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ヨルダンの本屋に住んでみた

ヨルダンの本屋に住んでみた

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行ってみたい国
行ってみたい国はありますか。イタリア、フランス、アメリカなど、たくさん魅力的な国がありますが、ヨルダンはどうでしょう。
ヨルダンと聞いて思い浮かべるのは、石の宮殿、ペトラ遺跡です。映画『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』のロケ地として有名です。いつか行ってみたいと思いながら、もう20年以上経ってしまいました。海外旅行は時間や金銭面などのハードルが高く、なかなか実現は難しいですよね。

しかし、この本の作者はそんなハードルを、ぴょんっと飛び越えてしまいます。
フウ氏は、ヨルダンにあるおしゃれな本屋をインターネットで知り、一目惚れします。すぐに思いの丈をぶつけたメールを店長に打ち、OKと短い返事をもらいます。そして、渡航費用を稼ぐために弁当屋さんで30日間休みなしでバイトし、翌日疲れ切った体でヨルダンへ旅立ちます。到着すると、個性豊かな同僚たちと協力して、憧れの本屋で働きだします。店長に案内された地元民ならではの死海観光や、ルームメイトとヒッチハイクして旅したペトラ遺跡など、エピソードも豊かです。
作者の行動力に驚かされながら、あっという間に読み終わりました。くすっと笑えて、作者のほがらかな人柄が伝わってくる、明るい旅行記です。

いつか行ってみたい、そんな場所にすぐ連れて行ってくれるのが、本のいいところです。

(美甘図書館・かも)

ゴミ清掃員の日常 ゴミ分別セレクション

ゴミ清掃員の日常 ゴミ分別セレクション

著者: 滝沢 秀一

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ピザの箱は何ゴミ?
一人暮らしの家事の大きな柱のひとつ、「ゴミ捨て」
生活していればどうしてもゴミは出てしまうもの。
実家にいたころは、分別に迷ったら家族に聞けば済んでいたが、今はそうはいかない。分からないことは、自分で解決するしかないのだ。
分別が分かりやすいゴミなら良いが、問題は“曖昧なゴミ”。「これって何ゴミ…?」となった瞬間やる気が無くなり、つい部屋の隅に置きっぱなしにしてしまうのだ…。

そんな時、SNSで話題になっていたのがこちらの一冊。
本書は、ゴミ清掃芸人・滝沢秀一さんが自身の経験をもとに、夫婦で描いたエッセイ漫画『ゴミ清掃員の日常』『ゴミ清掃員の日常 ミライ編』から、ゴミの捨て方にまつわるエピソードを厳選し、書き下ろしも加えた総集編となっている。漫画形式なので読みやすく、合間のコラムにも為になる情報が満載で、読み応えばっちり。
「ペットボトルの分別」「ゴミになる食べ物」「リサイクルの仕組み」など、読んでみると知らないことだらけで、改めてゴミについて考えさせられる。
最初の“ピザの箱は何ゴミ?”という問いの答えが気になった方は、ぜひ最後まで読んで確かめていただきたい。
(湯原図書館・ノサミ)

マジカル博物館ツアー

マジカル博物館ツアー

著者: パトリック・ボー

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クセのありすぎるミュージアムたち
図書館でしか出逢えなさそうなこういう謎の図鑑。ついつい借りてしまいます。
サブタイトルに「不思議で珍しい、世界の個性派ミュージアム100」と書いてある通りの内容で、かなり個性的な博物館や美術館が紹介されています。

私が一番気になったのは、クロアチアにある「失恋博物館」。
詩的でセンチメンタルな響きに反して、展示されているのは「元パートナーが置いていった家具を壊すために使われた斧」とか「離婚が成立した日に元夫の車のフロントガラスに投げつけた置物」などなど、意外にアグレッシブなのがたいへん良いですね。
(もちろんロマンチックでセンチメンタルな収蔵品もたくさんあるみたいですよ)

皆さまも、どれかひとつは“刺さる”ミュージアムが載っているのではないでしょうか!?
( 蒜山図書館・888 )

細かいところが気になりすぎて

細かいところが気になりすぎて

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細かさゆえの気づき
今年の夏は暑かった。それゆえに脳が読書という行為に集中できぬまま秋を迎えた。という言い訳をしながら棚を歩きまわり怠惰な脳に刺激をあたえてくれる本はないかと数冊を手にとるも琴線に触れなかった。(どの立場で言っているのか)そんな時、返却された本の中でタイトル借りしてしまったこちらの本。著者はお笑い芸人銀シャリの一人、あの橋本さんである。
特に琴線に触れたエピソードを自身にも重ねながらいくつか紹介したい。
ひとつめは「マスクの紐」。予期せずマスクの紐が切れてしまった橋本さん。店に入りたいがマスクの予備がない。そこでマスクの真ん中をちょっと噛んでマスクをしている風を装うことに。そのままレジに行くと店員の目は笑っていた。明らかにマスクを噛んでいることがわかる橋本さんがそこにいた。さすがにこれに匹敵する自分のエピソードは思いつかないのでちょっと悔しい。ふたつめには「携帯電話の機種変更」。これは橋本さんの話ではなくまるで自分のことではないかと錯覚した。たとえば携帯電話のバッテリーの交換時期が見え隠れしようといよいよまでは手放さないエコロジー精神。(単に面倒くさがりともいう)同世代の男性で新しい機種の機能を覚えるのが億劫という私のようなアナログ人間がいることが微笑ましい。そして一番刺さったのは「親父のこと」。橋本さんの親父はティアドロップのごついサングラスをかけ、チェックのシャツをGパンにインする小さいトム・クルーズ。そして人にぶつかったら「失敬」と言う昭和気質で怒りっぽい性格。これはまたクセ強な人だな、さすがに私の父はこんなクセ強では…と思ったとき、ふとアルバムの中の父を思い出した。ティアドロップ型のサングラスに柄物の開襟シャツをスラックスにインした姿で若き母の隣に立つ父。なるほど“イン”は誰もが通る道なのかと妙なところで納得した。父が亡くなり20年が経つが、まったくといっていいほど父が怒った姿を見たことがない。これでは橋本さんとまったく逆じゃないか。そういえば中央図書館に所蔵している『Tシャツの日本史』という本では、Tシャツの裾をインするかアウトするかについて言及しているらしい。もう少し秋が深まったら読んでみよう。
(中央図書館・ヨラコ)

にっぽんのスズメ

にっぽんのスズメ

著者: 小宮輝之 監修

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今、どこにいるのかなぁ…。
いつだったか、ふと母が「最近スズメを見ないね」と言ったことがありました。言われてみれば、鳥なのに私より足が速いセキレイとか、車道の真ん中にいて車が近づくと大儀そうにもっさりと逃げるカラスとか、何故かうちの庭とご近所の庭で縄張り争いを始めるムクドリとか、そういった鳥たちはよく見かけるけれど、同じように身近にいたはずのスズメは、いつの間にか見かけなくなった気がします。
 そんなことを思ったこともあり、手に取ったのがこの本。愛らしくも逞しい、活き活きとしたスズメたちの写真がたっぷりと収録されていて、ほっこりとした気分になります。知識面でも充実していて、案外知らないスズメたちの基礎的なことから。外国のスズメに関することも載っていて、ただ癒されるだけでなく勉強にもなるという、鳥好きにはたまらない一冊です。
 ……と喜んで読んでいた私ですが、彼らの愛らしい姿に和んだり、仕入れた知識に感心したりするうちにふと「ついこの間までこんな子たちがその辺にいくらでもいたのになあ」「珍しくもないと思っていたけど、実は彼らのことをあまり知らなかったんだなあ」と改めて気づかされたりもしました。私が不勉強かつ出不精なので知らないだけで、「まだその辺にいくらでも居るでしょ!」とお叱りを受けるのなら良いのですが。
(中央図書館・だいず) 

おばあちゃんは木になった

おばあちゃんは木になった

著者: 大西 暢夫

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私のばあちゃんは土になった
この本は、いずれダムに沈んでしまう村で変わらず日々を過ごすお年寄りたちを写した、写真絵本だ。
どのページのジジババもいきいきとした表情で、自然とともに逞しく暮らしている。
この表紙のババを見た時、思わず私の祖母かと思うほど風貌が似ていて驚いた。
大正15年生まれの祖母は、手拭いを姉さん被りにしてモンペを履き、お手製の前掛けをして、傾斜のきつい畑を丁寧に手入れするのが日課だった。
幼少の頃から体を酷使する農作業ばかりしていたためか、足はO脚に曲がり手は節くれだち、歳とともに腰はくの字に曲がって、竹で拵えた杖を頼りにやっと歩いていた。
それでも畑に出るとイキイキとして、地面に這いつくばるようにして草を1本ずつ抜き、広い畑をふかふかに耕していた。
「畑で死にたい」と口癖のように言っていた祖母は、転倒して大腿骨を骨折し、そのまま二度と畑に行く事もなく、97歳でこの世を去った。
先日のお彼岸、祖母のお墓参りをしてきた。
お墓は小高い場所にあり、良い眺めだ。
祖母が大事にしていた畑も見える。
土と戯れている祖母がまだそこにいるような気がした。
(中央図書館・はにわ) 

*10月25日(土)映画「水になった村」上映会&大西監督トークを湯原図書館で行います。ぜひご参加ください。
 【戦後80年図書館連続講座「食べる」から考える、豊かさとは?】第三回映画「水になった村」上映会&トーク
https://lib.city.maniwa.lg.jp/event/event_6118/
また大西さんの写真展を、中央図書館と湯原図書館で開催しています。

著者: 村上春樹

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青春と呼ばれる心的状況の終わりについて


村上春樹の『街とその不確かな壁』を読みました。
2023年刊の単行本の文庫版です。あの、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の別バージョンだと聞いたことがあって、そのうちに読んでみたいと思っていました。

私が村上春樹作品を盛んに読んでいたのは、90年代半ば頃。『風の歌を聴け』から始まり2000年に出た『神の子どもたちはみな踊る』あたりまで。以後、出版されるたびに書店に行列ができ、図書館では長い予約待ちができたけれど、私が村上春樹作品を読むことはありませんでした。

『街とその〜』はちょっと青春小説っぽいところもありつつ、『世界の終わり〜』と同じ「壁」をめぐる物語が展開。図書館が重要な場として登場します。

さてこうなると『世界の終わり〜』も再読したくなり、ぱらぱらめくってみたのです。が…「春樹成分」が濃厚で目がしばしば…。『街とその〜』はずいぶん枯れていたのだなと思いつつひろい読み。すると、主人公が「壁」の中の少女に「どこかで以前君に会ったことはなかったかな?」と言っている場面が。

ここを読んで脳裏に浮かんだのが「青春と呼ばれる心的状況の終わりについて」(『村上春樹堂 はいほー!』所収)でした。
村上春樹が、仕事で一緒になった女性に「ねえ、あなたは僕が昔知っていた女の子にそっくりなんです。本当にびっくりするくらい」と言ったら口説かれていると誤解されてしまい、その瞬間に「おそらく青春とでもいう名で呼ばれるべき漠然とした心的状況もまた終わってしまった」。そんな短いエッセイです。

うーん、村上春樹作品における〈こういうセリフを女性に言っちゃう感じ〉よ。これが急にこっぱずかしくなった20数年前のある日、わたしにとっての「青春と呼ばれる心的状況」が終わりを迎えたのかもしれません。

そんなことを思った2025年の暑い暑い夏でございました。

中央図書館:くろ(『世界の終わり〜』は挫折中。なんか舞台化されるらしいですね)

シティ・ポップとラジカセ

シティ・ポップとラジカセ

著者: 開発社 編著

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No Music No Life
スマホを使ってサブスク(subscription)で音楽を聴くことがあたりまえになっていますが、80年代の音楽カルチャーを振り返る本書では、「カセットテープ」、「FM情報誌」、「ラジカセ」、「ウォークマン」等の当時の音楽を聴くために必要だったモノについてとても詳しく書かれており、昭和50年代頃の自分もこうだったなと、とても感慨深く読みました。
レンタル店もなく、レコード(当時はまだCDじゃなかった)を買うお金も限られていたので、友達同士で互いに貸し借りしていました。それでも充分とはいえず、そんな時頼りにしたのは「エアチェック(死語?)・・・FMラジオ等で放送された音楽番組から楽曲をカセットテープに録音すること」でした。
とはいえ県北の田舎は電波状況も悪く、アンテナの向きを工夫したり等、受信には苦労しました。
その上、求めている曲が流れる保証もないので、せっせとリクエスト葉書を送ったりしていました。
(2回ぐらい取り上げてもらったことを覚えています。)
そして、曲が流れるタイミングに合わせて録音ボタンを押したりと、(次はいつチャンスが訪れるかわからないので)いつも真剣勝負でした。
なので、おそらく僕たちの世代は1曲1曲に対する思い入れが相当強いと思っています。
年齢を重ねたせいかもしれませんが、今でも当時の曲を大切に聴いております。
(中央図書館・SHITSUCYO)

マラソン1年生

マラソン1年生

著者: たかぎなおこ

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フルマラソンに挑戦!?

超運動不足でマラソン未経験の作者がテレビで「東京マラソン」を見て、ホノルルマラソンに挑戦するまでのお話です。そういえば私も大学生の頃に友だちと「いつかホノルルマラソンに出たいね。」と言っていたような…?(10年後、別の大会ですが、その友だちとフルマラソンを完走!しんどかったけど、今でも完走メダルをかけてもらった時の感動は忘れません。)
 この本は、主人公がウェアアやシューズをそろえてワクワクしたり、大会にエントリーしたり、マラソンを通じて友だちができたり、地道に努力をしている姿が描かれています。私も自分が走っていた当時を思い出し、また走りたくなってきました。
 この本をきっかけにマラソンに挑戦する人がいたらいいな。(そろそろ私も走ろうかな?)
(学校図書館・しろくま)

二年間の休暇

二年間の休暇

著者: ジュール・ヴェルヌ

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意外と長い…夏休み!?
『二年間の休暇』って?と思われた方もいるかもしれません。
世界名作シリーズにも入っている、『十五少年漂流記』の原題なのです。15人の少年が無人島に流れ着く物語なので、『十五少年漂流記』。とっても良い題名だと思います。語呂が良いと言うか。

原題の『二年間の休暇』はちょっと地味かもしれません。『二年間の休暇』だと世の少年少女が手に取らないかも!と昔の人が考えたのかな。とか勝手に想像…。わたしも子どもの頃、原題だったら読んだかなぁ。

でもびっくり度は『二年間の休暇』の方が高い気がします。『十五少年漂流記』って二年間の話なの?長っ!と思いませんか?1年生から5年生までの少年たちですよ?某脱出島もびっくりなサバイバルな生活ですよ!

イギリス人、フランス人、アメリカ人、国籍の違う15人の少年たちが協力しあい、時には反目しあいながら、自然や野生動物相手に闘い、生きていくだけでも大変なのに!とっても意地悪な少年(いやみっぽい!)や、悪者(本気で怖い!)まで出てきます。大人が読んでも違う視点から楽しめます。

そして『二年間の休暇』の「休暇」は、ちょうど夏休みなのです。今まさに夏休みまっただ中。夏休みという共通点しかないけれど、安全なお家の中で、お楽しみの船旅からの~まさかの漂流サバイバル!を味わってみてください。
(学校図書館・みみさん)

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