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夜は猫といっしょ

夜は猫といっしょ

著者: キュルZ(ゼット)

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さば・とら・きじならあるのかも?
「ザラザラの舌によるグルーミングは痛い」「狭くとも頭が通れば通り抜けられる」……などなど、本書は猫あるあるをリアルに描く短編マンガ集。

主人公の兄妹フータくんとピーちゃんは一緒に暮らしている。その猫の名前は「キュルガ」。この少し不思議な名前の由来は「QRコード画像」から。ある日、ピーちゃんがスマホで猫を写真撮影すると、猫の頭の柄をなぜか二次元コードとして認識してしまった。

実は、私も同じようにうちの猫(「ギーちゃん」)を撮っていて、突然QRコードを読み取ったことがある。何のサイトに飛ぶのだろうか?と、ちょっとワクワクしながらクリックしてみると、某「現場を支えるネットストア」の画面に切り替わった。
「ギーちゃん、あんた○○タロウだったん…」

そんなわけで本書は、猫好きのあなたなら、いちいち「たしかにー」となるはず。夜のお供にいかがですか。
(中央図書館・みーやん)

ゆるパイ図鑑

ゆるパイ図鑑

著者: 藤井青銅

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名物に旨い物なし、と申しますが
サブタイトルは「愛すべきご当地パイたち」。
つまりこの本は、日本各地で発売されている(一部、発売終了しているものもありますが)ご当地パイ菓子を「魚介類」「フルーツ系」といった材料別に分類し、写真やデータを添えて解説している〈図鑑〉なのです。
冒頭で紹介されているのは「夜のお菓子」うなぎパイ。初めて食べたときは、何やら大人の味がするような気がしたものです。「気のせいだよ、確かに美味しいけど」と今なら当時の自分にツッコんでやれるのですが。
 それはともかく。全国47都道府県、まんべんなく発売されているご当地パイ。岡山県は写真と解説付きで「直島うま塩パイ」、名前だけですが「千屋牛パイ」などが紹介されており、洋菓子好きなら眺めているだけで幸せになれます。
 名物に旨い物“あり”、です。
(中央図書館・だいず)

菜食主義者

菜食主義者

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入り口はタイトルから
ノーベル文学賞受賞作家ということもあり、以前から気になっていたこちらの本。(気になっているわりに積読状態であった。)
気になっていたがゆえに、あらすじやレビューなどは一切見ることなく挑んだ。そして「菜食主義者」というタイトルから、いわゆるベジタリアンの日常をコミカルに描いた作品なのかと勝手に想像していた。……全然違った。いや、最初は軽いタッチでスルスルと読めたのだ。が、しかしなぜ菜食主義者になってしまったのかという経緯が見えてきた瞬間、「あぁ…」と低く深いため息がでた。ある時代に生きてきた人間の欲や闇、そこに悩み苦しむ人たちの描写が生々しく、一瞬でもコミカルを期待した自分を失笑した。この作品については、文化や習慣の違いを加味しても好みが分かれるだろうと感じた。うむ…「菜食主義者」のほか、あと2つの話が収録されている。続けて読むかどうか迷ったが、次の「蒙古斑」という意味深なタイトルを目にしたとき、なんだかんだとページをめくる手は止まらなかった。結局、「あぁ…」とため息が出ることも含め、私はハン・ガン氏の作品に惹かれていることに気づいたのである。
(中央図書館・ヨラコ)

ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家

ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家

著者: エイミー・ノヴェスキー 文 イザベル・アルスノー 絵

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絵本からはじまる世界
「返却期限日までに読めなかったから、延長してもらっていい?なかなか読む時間がなくて……」
「わかります~!2週間あっという間ですよね(※)」なんて、カウンターでの利用者さんとのこんな会話は、図書館司書あるあるだ。図書館司書なんだから本をたくさん知っていなければならないのに、本を読めない言い訳はいくらでも出てくる…。

ある日、新しく図書館に入れる本の選定会議で世界的な彫刻家、ルイーズ・ブルジョワの本が話題になった。私はルイーズ・ブルジョワも有名な作品も知らなかった。そこで、市内図書館に彼女の関連本がないか調べると、彼女の生涯が描かれている絵本があった。
早速借りて読んでみると、彼女の生い立ちや、幼いころの家族への愛や悲しみから作品が生まれたことが簡潔に描かれていた。高学年向けの本で文字数が多いといっても絵本なので読むのは早い。
この意味でも、私は絵本や児童書が好きだ。
興味を持った私は、ルイーズ・ブルジョワ作 『ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ言っとくけど、素晴らしかったわ』(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 美術出版社書籍編集部)を読み、彼女の作品を見た。
作品に衝撃を受けた。愛も悲しみも私が思っていたよりずーーーっと、とてもとても深かった……。
※次の予約の方がいなければ、二週間延長できます!

(中央図書館・あいすろいみ)

ローワンと魔法の地図

ローワンと魔法の地図

著者: エミリー・ロッダ

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キング・オブ・ファンタジー
川の流れが止まった。
「川はあの山から流れてくるのよ」
「あの山で何か具合の悪いことが起こったせいで、川の流れが止まったんだ」
リンの村人は探索隊を山に派遣することに決めました。
竜がいるという伝説がある山の頂へ……

本物のファンタジーの力に冒険心がくすぐられます。
主人公は弱々しい男の子。なぜこの子が村を救えるのか?
最後まで読むとハッとさせられるはず。

指輪物語、ナルニア国物語、ゲド戦記、ハリーポッター……数ある魅力的なファンタジーの中でも、学校司書時代をふくめ、私がこれまでの人生で一番たくさん子どもたちにおすすめしてきた物語です。
ほとんどの子が目を輝かせて「続きが読みたい!」と返してくれました(その言葉、待ってました!と心の中でガッツポーズ)。

大人の方でも十分楽しめます。

(中央図書館・イミ)

著者: ポール・オースター

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小説というものの醍醐味は。
この本ほど紹介しにくい本はなく、「とにかくお読みください」としか言いようがありません。
そんな本をなぜわざわざ紹介するのか。
それは、これをポール・オースターファンだけが読むのはもったいなさ過ぎるから。

内容は「1950〜70年代アメリカを舞台にしたユダヤ系の若者の成長物語」。え?こんな30文字以内でまとまるような話を、厚さ6センチ、800ページの鈍器みたいな本でわざわざ読まないって?ですよねぇ、ごもっとも。
しかしながら私は、160ページ過ぎくらいまで読んだところで、著者が何をしようとしているのかが分かってまず意表を突かれ、そこからはらせん階段をぐるりぐるりと登りつづけていくような感覚で4、3、2、1と読み進み、やっとたどり着いた先で目の前に開けた景色を見て、「ここまで来た甲斐があったなぁ」と心の底から思ったのです。本がこんなに分厚くなるのも仕方ないわ、とも。
もっと言いたい、でもこれ以上は言えない、言いたいけど。読み終えたら語り合いましょうね。

160ページ過ぎての発見について誰かとしゃべりたくて、私より少し前に読み始めた知人に「この本の読み方が分かった」とメッセージを送ったところ、「それってどういうこと?私は150ページくらいで止まってて…」と返事があり、おおっとあぶない^^; と思ったのでした。
そろそろ彼女も読み終わったかな。
(中央図書館 くろ)

アリ対猪木 アメリカから見た世界格闘史の特異点

アリ対猪木 アメリカから見た世界格闘史の特異点

著者: ジョシュ・グロス

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時代が追いついたのか。世紀の凡戦から総合格闘技の原点へ
真庭市民の多くは6月26日といえば露天風呂の日という認識をお持ちかなと思っていますが、
この日は「格闘技の日」だそうで1976年の同日にアントニオ猪木とモハメッドアリが戦った
「格闘技世界一決定戦」を記念して制定されたそうです。
1976年は土曜日も半ドン(死語?)でしたが学校があり、全世界に中継された「格闘技世界一決定戦」を見ようと
急いで帰宅したことをとてもよく覚えています。
緊張感のある試合でしたが、猪木の勝利を信じていた当時小学5年の私の期待には沿わない展開が続き
15ラウンド引き分けという残念な結果となりました。
翌日の報道では「世界が笑った」、「世紀の凡戦」と酷評されましたが、
UFC等の総合格闘技の大会が盛んになった現在では総合格闘技の原点と再評価されており、感慨深いものがあります。
本書はアメリカ人のジャーナリストが執筆したアメリカサイドの視点という点で興味深く読ませていただきました。
(中央図書館・SHITSUCHO)

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プロが教える紙パンツと紙おむつの交換法

著者: 境野みね子

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森羅万象
(昨日(下の記事)のつづき)

20代の頃、東京の障害者団体の職員をしていた。
その団体はのちにバリアフリー法や障害者差別禁止法などにつながっていく社会運動を主導していた団体でした。役員は全員障害者、私は団体の事務員であり介助者でもあった(ちょうど30年前で、震災のときには神戸に派遣され、障害者向けのボランティアセンターの立ち上げをしたり)。
働きはじめ数年で重い腰痛になって歩けなくなった。
いま思えば、単純に力任せだった。まだ、高齢者介護含めて、介護は一般的だったとはいいかだい時代で、それぞれ独学という状況だった。

先日、母の介護を少しだけした。大人介護は久しぶりで、どうすればよいのか、試行錯誤だった。ちょっと腰もいたくなった。
正月明け、図書館に戻ると、新刊コーナーにこの本があった。
プロの介護スキルが、全編写真で紹介されている。しかも動画付き(QRコード)。
なるほどこうやればよかったのか。次に活かそう。

「まえがき」より
「排泄介助も同じです。自立支援の考え方のもと、ご本人にできる動作はしていただき、力は最小限にして介助を行っていきます。そのような介助は、ご本人も介助する人もお互いに楽です。」

本人も、まわりの人も、楽になる。というのは、上記、障害者団体で一緒に働いていたときのみんなの願いそのもの。

それにしても、介護ひとつとっても、『シンクロと自由』のように、関係性に注目した本もあれば、この本のように技術にしぼったものなど、それぞれまったく違う視点がある。
「図書館には森羅万象があります」(*)とは、取り扱う話題が多様なだけではなく、取り扱い方も多様だという意味でもあったのか。ふむ。

(中央図書館:カンチョー)

*三年前の赴任時に、U司書が教えてくれたことば。

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シンクロと自由

著者: 村瀬孝生

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はじめての…
年末年始、普段は施設にいる母の外泊を、実家で受け入れた。
ところがインフルエンザに罹患。
高熱でトイレもままならず、はじめて排泄介助をした。
はじめて味わう感情だった。なんだこの気持ち……。

ちょうど村瀬孝生さんの『シンクロと自由』を持っていた。
開いてみると、なんてよいタイミングなんだという記述に出会った。
村瀬さんは、介護のプロで文筆家。認知症のお母さんの介護にも通う。

「介護するために母の体をさわったとき、言いようのない恥ずかしさと生理的な嫌悪が生じた。(中略)かつては、ぼくが手を引かれ、陰部を洗われていた。そして長いあいだ、母もぼくも互いの体にふれたことはない。立場が逆転したことに、ぼくの体が慣れていたいのだ。混乱し、緊張しているのだった。体を委ねる母も、委ねられるぼくも『怖さ』と『恥ずかしさ』を抱えている。」

そうそう〜
ゆらいだ感情に言葉をあててもらった気がして少し落ち着いた。

母は高熱でもうろうとしていたが、そのことで私も母も助かった気がする。

「介護は『仕方ない』ぐらいがちょうどいい」と村瀬さんは言う。

「排泄の失敗に遭遇したとき、介助者はどのような態度で登場すればよいのだろうか。
『喜んで』といった感じだと腹が立つ。『お気の毒』では救われない。『かわいそう』は居たたまれない。心を込められると、かえってつらく感じるのはぼくだけだろうか。(中略)『仕方ない』には、受容や共感とは異なる肯定がある。(中略)ふたりで、ひとつの行為をやり遂げるには「仕方なさの合意」から出発すると気楽だった。」

なるほど。


というわけで、心構えの方向性は見えた(たぶん)。
しかし、すぐ腰が痛くなってきた。
ううむ。シンクロするには、介護スキルが圧倒的に不足してる……(つづく)

(byカンチョー)

岩合光昭×ねこ旅

岩合光昭×ねこ旅

著者: 岩合 光昭

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一瞬をつなぐ
蒜山が白に包まれる季節
寒樹は氷の蕾をつけます

一瞬のきらめき

揺れるまなざし

もう少し 一瞬に残りたい

そんな願いを叶えるため
記録する技術は発展してきたのかもしれません


旅先で出会ったねこの写真を集めた本書
ページをめくるたび
あたたかな想いに頬がほころびます。

著者の岩合光昭さんは、旅のおわりに…の中で、
ねこへの感謝の気持ちを綴っています。

 過ぎ去っていく一瞬を
 少し先の自分と分かち合う

日々を丁寧に過ごす著者の姿勢に心が震えます。


輝く蕾 ほころぶころ

振る得る想い 実ちる胸はる

(蒜山図書館・道留)

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