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黒部源流山小屋料理人

黒部源流山小屋料理人

著者: やまとけいこ

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「おいしいごはん」への憧れ
気付くと○○部の寮生活の食事風景、職業人のごはん、著名人の朝ごはんのような動画を見ている時がある。私はどうやら人のごはん風景に興味があるらしい。ということで山小屋でのごはん事情がわかるこの本は気になるところなのである。
ワンシーズンに食材の調達手段はヘリ輸送の2回ということで、限られた調理環境や食材で登山客や自分たちの食事をまかなわなければならないのだが、食材の活用法や保存方法のアイデアは日常でも生かせそうなものも紹介されていたり、失敗談は下界では見られない山の中特有のエピソードだったりである。紹介される料理の数々は著者の丁寧でやさしいタッチのイラストもあいまって食を大切にする気持ちがうかがえる。
体を動かした後に大自然の中でいただく食事、となればおいしくないわけがない。最近「おいしい」と感じたご飯を食べただろうか…?山に囲まれた土地に住んでいながら家と職場の往復でお花見も行かないインドアの私は自然を感じただろうか…?
よし、今度の休みは庭の草取りをした後にでも外でおむすびでも食べてみようとこころに誓うのである。(天気が良かったら)
(落合図書館・ジジ)

ゼラチン・寒天・アガーで作る、おいしい新食感 季節のゼリースイーツ

ゼラチン・寒天・アガーで作る、おいしい新食感 季節のゼリースイーツ

著者: 大越郷子

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愛しの寒天
お花見の時期はもう過ぎてしまったが、この本を見て子どもの頃の「お花見弁当」を思い出してしまった。
「え?お花見弁当にゼリー??」と思われそうだが、寒天のほうである。
私が生まれ育った地域(真庭市の某地域)では、「お花見弁当」には寒天は欠かせないものであった。岡山市から嫁いできた母は、初めて長男のお花見弁当を作った日、そんな風習など知るはずもなく、後から聞いて驚いたらしい。とはいえ私は三番目の末っ子なので、初回からしっかり寒天が入っていた。
子どもの頃、私は近所の友達5人とよくお弁当をもってお花見をした。3日連続ですることもあった。それぞれのお弁当にももちろん寒天が入っていた。無色透明だったり赤い透明だったり、サクランボが入っていたりと家によってそれぞれである。
私は寒天にはちょっとうるさく、3日連続のお花見弁当に「牛乳寒天に明日は八朔(はっさく)入れて!」などと、今思うとかなり面倒くさい注文をしていた。それこそ、この本ではじめて知ったのだが、ゼラチンは常温で溶けるのに対し、寒天は常温でも溶けないらしく、まさにお弁当には最適だったのだ。そしてさらに柑橘類を入れると、寒天は固まりにくいらしい・・・。
今更ながら母に申し訳ないことをしていたようだ。
罪滅ぼしに、便秘で食欲のない母の為、この本に載っていた梅酒のゼリーならぬ、梅ジュースの寒天を作ろうと思うのである。
(落合図書館・わらじ)

ビジネスマン超入門365

ビジネスマン超入門365

著者: 林 雄司

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タイトルだけで誤解しないで
新年度から早2週間が経とうとしている。この度、新社会人になった人も多いのではないだろうか。そろそろ職場の雰囲気に慣れてきたかな、という人におすすめしたいのがこちら。
タイトルだけ見るとお堅い本のように思えるが決してそんなことはなく、ビジネスの場において大切な知恵の数々が365日分ゆる~く収録されたビジネス書である。1日分が5行程度という短さで構成されており、絵本のように気軽に読むことができるのがポイント。
さらに、各トピックスにはクスッと笑える林さんの一言とヨシタケシンスケさんのイラストが描かれており、こちらも合わせて読んでいただきたい。
365日分あることにより、自分の誕生日や今日の日付など、目に付いたページを見るだけでも楽しむことができる。
ちなみにこの記事が掲載される4月19日は「用語:オーソライズ。ホワイトボードに自分の都合のよい意見だけ書いて、議事録にして送ること。」それに対する林さんの一言は、ぜひ読んで確認していただきたい。
(湯原図書館・ノサミ)

おだまり、ローズ

おだまり、ローズ

著者: ロジーナ・ハリソン 著

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信頼関係があってこそ
蔵書点検で館内の本を読み込んでいたときに見かけて、思わず手が止まってしまったこのタイトル。なかなか分厚い本ですが、読んでみたら期待を裏切らない内容でした。

「ウィットに富む」ってこういうものを言うのでしょうか。
20世紀前半のイギリスで子爵夫人に仕えたメイド・ローズの回顧録なのですが、メイドになる前、序盤の子ども時代の章からもう切れ味が鋭い。
型破りな子爵夫人のもとに来てからはさらに痛快で、その生活と二人のやりとりを垣間見ているような読者としてはニヤニヤしっぱなしです。扱いにくいと評判の主人を相手に、物おじしないどころか口答えして口論するローズもかなり型破りなのでした。

当時の貴族の生活を知りたいあなたにもおすすめですよ。
(蒜山図書館・888)

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

著者: 松本 俊彦/横道 誠

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「ダメ。ゼッタイ。」で、いいのか。
だめだと思いながらやめられないこと、ありますよね。例えば、ブラックコーヒーを一日何杯も飲む、タバコを吸う、お酒をたくさん飲むことなどです。健康のためにやめたい、でも自分ではどうすることもできない、そんな依存症に関する本です。
「ダメ。ゼッタイ。」と強い言葉で突き放す本ではありません。アルコール依存症である文学研究者とニコチン依存症の精神科医が、自身の経験や考えを赤裸々な言葉で綴る往復書簡です。
当事者であり、専門家でもある二人のやり取りから、依存症に対する認識が変化しました。これまでマイナスなイメージを持っていましたが、依存症は苦痛の緩和なのではないか、という視点は新しい発見でした。傷ついた心や孤独が根底にあって、なんとか自分を立て直すために人は何かに依存しているのかもしれません。
( 美甘図書館・かも )

満月珈琲店

満月珈琲店

著者: 桜田千尋 作・絵、望月麻衣 文

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ちょっと一息つきませんか。
 ある日、お家でまったりとしているときにきれいなイラストと物語が読める落ち着いた絵本みたいな本はないかなとスマホで探してみたら、この本が出てきました。
 疲れた人だけがいける満月珈琲店にはいろんなお客さんが訪れます。近所に住んでいるお兄ちゃんに失恋した女の子。挫折をした元アイドル。仕事を辞めたサラリーマン。最愛の人を亡くした女性の春夏秋冬4つのお話で構成されているイラストストーリー集です。
三毛猫のマスターが満月珈琲店に訪れた人のために、スイーツやフード、ドリンクを提供してくれます。マスターが提供してくれる「満月バターのホットケーキ」、「天の川ミルクティー」、「水星のアイス」などの料理の名前に天体や天候が入っているのが素敵で、私も食べたいな、私が行ったらどんな料理をマスターは出してくれるのかなと思わせてくれました。
 満月珈琲店は満月の夜にさまざまなところに現れます。あなただったらどこに現れてくれたらいいなと思いますか。また、猫のマスターに何の料理を作ってもらいたいですか。
(中央図書館・通りすがりのCROW)

夜は猫といっしょ

夜は猫といっしょ

著者: キュルZ(ゼット)

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さば・とら・きじならあるのかも?
「ザラザラの舌によるグルーミングは痛い」「狭くとも頭が通れば通り抜けられる」……などなど、本書は猫あるあるをリアルに描く短編マンガ集。

主人公の兄妹フータくんとピーちゃんは一緒に暮らしている。その猫の名前は「キュルガ」。この少し不思議な名前の由来は「QRコード画像」から。ある日、ピーちゃんがスマホで猫を写真撮影すると、猫の頭の柄をなぜか二次元コードとして認識してしまった。

実は、私も同じようにうちの猫(「ギーちゃん」)を撮っていて、突然QRコードを読み取ったことがある。何のサイトに飛ぶのだろうか?と、ちょっとワクワクしながらクリックしてみると、某「現場を支えるネットストア」の画面に切り替わった。
「ギーちゃん、あんた○○タロウだったん…」

そんなわけで本書は、猫好きのあなたなら、いちいち「たしかにー」となるはず。夜のお供にいかがですか。
(中央図書館・みーやん)

ゆるパイ図鑑

ゆるパイ図鑑

著者: 藤井青銅

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名物に旨い物なし、と申しますが
サブタイトルは「愛すべきご当地パイたち」。
つまりこの本は、日本各地で発売されている(一部、発売終了しているものもありますが)ご当地パイ菓子を「魚介類」「フルーツ系」といった材料別に分類し、写真やデータを添えて解説している〈図鑑〉なのです。
冒頭で紹介されているのは「夜のお菓子」うなぎパイ。初めて食べたときは、何やら大人の味がするような気がしたものです。「気のせいだよ、確かに美味しいけど」と今なら当時の自分にツッコんでやれるのですが。
 それはともかく。全国47都道府県、まんべんなく発売されているご当地パイ。岡山県は写真と解説付きで「直島うま塩パイ」、名前だけですが「千屋牛パイ」などが紹介されており、洋菓子好きなら眺めているだけで幸せになれます。
 名物に旨い物“あり”、です。
(中央図書館・だいず)

菜食主義者

菜食主義者

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入り口はタイトルから
ノーベル文学賞受賞作家ということもあり、以前から気になっていたこちらの本。(気になっているわりに積読状態であった。)
気になっていたがゆえに、あらすじやレビューなどは一切見ることなく挑んだ。そして「菜食主義者」というタイトルから、いわゆるベジタリアンの日常をコミカルに描いた作品なのかと勝手に想像していた。……全然違った。いや、最初は軽いタッチでスルスルと読めたのだ。が、しかしなぜ菜食主義者になってしまったのかという経緯が見えてきた瞬間、「あぁ…」と低く深いため息がでた。ある時代に生きてきた人間の欲や闇、そこに悩み苦しむ人たちの描写が生々しく、一瞬でもコミカルを期待した自分を失笑した。この作品については、文化や習慣の違いを加味しても好みが分かれるだろうと感じた。うむ…「菜食主義者」のほか、あと2つの話が収録されている。続けて読むかどうか迷ったが、次の「蒙古斑」という意味深なタイトルを目にしたとき、なんだかんだとページをめくる手は止まらなかった。結局、「あぁ…」とため息が出ることも含め、私はハン・ガン氏の作品に惹かれていることに気づいたのである。
(中央図書館・ヨラコ)

ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家

ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家

著者: エイミー・ノヴェスキー 文 イザベル・アルスノー 絵

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絵本からはじまる世界
「返却期限日までに読めなかったから、延長してもらっていい?なかなか読む時間がなくて……」
「わかります~!2週間あっという間ですよね(※)」なんて、カウンターでの利用者さんとのこんな会話は、図書館司書あるあるだ。図書館司書なんだから本をたくさん知っていなければならないのに、本を読めない言い訳はいくらでも出てくる…。

ある日、新しく図書館に入れる本の選定会議で世界的な彫刻家、ルイーズ・ブルジョワの本が話題になった。私はルイーズ・ブルジョワも有名な作品も知らなかった。そこで、市内図書館に彼女の関連本がないか調べると、彼女の生涯が描かれている絵本があった。
早速借りて読んでみると、彼女の生い立ちや、幼いころの家族への愛や悲しみから作品が生まれたことが簡潔に描かれていた。高学年向けの本で文字数が多いといっても絵本なので読むのは早い。
この意味でも、私は絵本や児童書が好きだ。
興味を持った私は、ルイーズ・ブルジョワ作 『ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ言っとくけど、素晴らしかったわ』(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 美術出版社書籍編集部)を読み、彼女の作品を見た。
作品に衝撃を受けた。愛も悲しみも私が思っていたよりずーーーっと、とてもとても深かった……。
※次の予約の方がいなければ、二週間延長できます!

(中央図書館・あいすろいみ)

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