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しつもん100

しつもん100

著者: tupera tupera/作

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旅の醍醐味は道中にあり。
娘が小学生の頃、私の実家まで鈍行で11時間かかって帰ったりしていました。
長い道中、車内での定番ひまつぶしは以下の3つ。
①しりとり(いつまでやるんだっていうほどやってた)
②絵しりとり(いつまでやるんだっていうほどやってた)
③窓から見えるものを言うだけのゲーム(同じものを言ってはいけない。外をめちゃくちゃよく観察することにはなる)
光陰矢の如し。娘たちもさっさと大きくなって、一緒に移動することもなくなりました。あのころの車中の不要不急の会話が懐かしい。
旅の醍醐味は道中にあり。
つぶすひまは持ちたいものだと、新幹線ばっかり乗ってる最近の私は思うのでした。

というわけで、この本が当時あったらぜったいこれでひまをつぶしていたに違いないという一冊。
100個のシンプルな問いが書いてあります。
「すきなもの さいしょにたべる? さいごにたべる?」
「ザバーン!!うみからなにがでてきたと思う?」
「あつめているものは なに?」……
順番に問いこたえて、「私はあーだ」「私はこーだ」と話せます。
さすが tuperatupera さん。絵も楽しい。
お盆も近い。
帰省に、旅のおともに、ちょっとした「問い」はいかがですか。

追記:
実は中央図書館のニュースレター『Biblioteca』では、毎月、司書の紹介をこの本の問いをお借りしてやっています。問いの向こうに見える人柄。
バックナンバーぜひご覧くださいませ。
ホームページの一番下の「図書館だより」→「中央図書館」にあります。
全員が共通して答えている問いは「ほかほかごはんになにのせる?」です。
あなたなら何をのせますか?
(中央図書館・KANCHO)

ドーナツを穴だけ残して食べる方法

ドーナツを穴だけ残して食べる方法

著者: 大阪大学ショセキカプロジェクト/作

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図書館員ならどうやって食べるか
10年前この本が出版された時、気になりすぎるタイトルと柔らかくて美味しそうなドーナツの写真に惹かれて手に取りました。
ところが内容は見た目と違って硬そうで、数式も登場している、これはちょっと手に負えそうにないわーと本棚に戻したのでした。
今年に入って、排架(“ハイカ“。図書館では、本を棚に戻すことをこう呼ぶ)のために本棚の前を通るたびに目に入るのです、この本が。
目に飛び込んでくる背表紙の黄色い文字。そんなにアピールされてもなぁ、と思っていたのですが、このたび晴れて?いや、根負けして?読んでみることにしました。
 
すると、おもしろかったのですよ、これが。
「ドーナツを穴だけ残して食べるには?」という学生たちの問いを、大学の工学、応用化学、人類学、経済学、法学、数学など各々の専門分野の先生方が考え、論じていかれるのです。 
たとえば、工学研究科の先生がドーナツを旋盤加工で切ったり削ったりするガチなアプローチを考え、理学研究科数学専攻の先生は、我々が4次元空間の中に住んでいるとして…との論理的トリックを持ち出し、法学の先生は「ドーナツ事件」というドーナツ型クッションに係る商標権侵害訴訟の話から「輪形以外の形状のドーナツを想定する」ことで解決方法を模索し(先生曰く「詭弁を弄」し)たり、応用化学の先生がドーナツのような形をした環状オリゴ糖の話を始めたり。

先生方の使う言葉はだいたいが難解で、何のことやらまるで分からないところもたくさん。でも誰一人「穴だけ残して食べるなんて無理に決まっている」とは言わず、「うちの学問分野だとこう考えられるね」と真剣に、かつ、楽しそうに説明されるので気になりません。
学問って自由なのだ!と、すがすがしい気持ちになりました。

(中央図書館・くろ )

文鳥・夢十夜

文鳥・夢十夜

著者: 夏目漱石/作

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見る
もうすぐスターウィーク。
蒜山は星々の輝きに抱かれます。
月のない夜、
星ひとつひとつの鮮やかな色が見えます。

見る。

心が動く。

見えているものの魅力に慣れてくると、
見えないものも見たい…とゆう気持ちになります。

情報と共に見る。

道具を使って見る。

様々な手段により、
見れば見るほど、
見えないものの多さに気づき、

気配を感じながら、
どうしても見えないものに、
さみしさを感じます。

そんな気持ちになったとき、
夏目漱石の「文鳥」を読むことにしています。

記録のように淡々と過ぎる日常。
羽根の毛一本さえ逃さない詳細な文鳥の様子。

見えるけど、近づけないこと。

見えないものの気配と共に在ること。

理解・解決とゆう言葉を虚無しく感じることと出会い、
本を閉じるころ、
やわらかな静けさに包まれます。
(蒜山図書館・下午)

わたしが一番きれいだったとき  豊かなことば現代日本の詩 7

わたしが一番きれいだったとき  豊かなことば現代日本の詩 7

著者: 茨木のり子/作

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そうだったんだ
若い頃からずっと、私は、長~い小説が大好きで、詩には全く興味がありませんでした。
詩って短い。短い言葉では気持ちが伝わらない、というイメージしかもっていませんでした。
でも、最近、若い女性に茨木のり子の詩が人気だと知って、先日、はじめて茨木のり子の詩集を読んでみました。
そしたら、そのかっこ良いこと!
詩のイメージが一変しました。
話し言葉に近く読みやすい。反復法など表現のおもしろさもある。
これなら短くても思いは伝わるのだと思った。

そんなわけで、思わず茨木のり子の魅力にはまってしまいました。
この本には、茨木のり子の代表作37編が収められています。
中でも私のお気に入りはやっぱり「倚りかからず」と「自分の感受性くらい」です。
私も、この詩のように、何にも倚りかからず、自分の感性を信じて生きていきたい!
……けど、人の意見に流されやすい私には難しい……かなあ
(久世図書館・KAONITA)

永瀬清子詩集

永瀬清子詩集

著者: 永瀬清子、 谷川俊太郎/作

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心配する生き物、それは母
永瀬清子は岡山県出身の詩人である、という事は知ってはいたが、作品を読んだことはなかった。
そもそも私は「詩」が苦手だ。
作者のこころの内をこっそりのぞき込んでいるようで、秘密の日記を読んでいるようで、ソワソワしてしまう。
それでもこの詩集を読んでみたきっかけは、母に勧められたからなのだが、理由はこうだ。
「永瀬清子はあんたと同じ誕生日よ。読んでみたら?」
母は決して占いの類を信じるような人ではないが、誕生日が同じという点において、何か感じるものがあったらしい。
母の助言に従って開いたこの本の中で、「母の心配」という詩が目に留まった。私も母であり、今まさに息子が心配の種であるため、読んでみると共感ハンパない。
待てよ、私の母は息子を心配する私を心配して敢えてこの本を読ませたのか?
母を鬱陶しく思っている息子よ、母ってこんなもの。
いつもいつまでも子どもの事を心配して生きている。
(北房図書館・はにわ)

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

著者: 高野文子/作

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科学と私
著者の高野文子さんは手塚治虫文化賞マンガ大賞も受賞したこともある著名な漫画家さんなのであるが、マンガコーナーにあるからといって気軽にこの本を手に取って、読み始めた私はちょっと頭が混乱したのである。
本の語り手のとも子さんが娘のきん子ちゃんと暮らしながら、寮母をつとめる学生寮「ドミトリーともきんす」での寮生たちとの日常が描かれているのだが、その寮生たちが偉大な科学者たち、物理学者の朝永振一郎さん、朝ドラで身近になった植物学者の牧野富太郎さん、ノーベル賞受賞の物理学者湯川秀樹さんらなのである。もしや、○○学的な本なのかしらん?と、なるとなんだか頭が痛くなって、本を閉じてしまいそうになる。しかし、そこは高野さんのやさしくて、でも淡々として、ちょっと不思議なような漫画に助けられ、読み進んでみよう。ふむふむ。
難しくない言葉で書かれたセリフをゆっくりと考えながら読み進めていくと、科学者たちの人となりと研究対象と伝えたいことがなんとなくわかるような気になってくるのである。「わかってきたような気がする」それだけで科学との距離が少し縮まった気がして、勝手にうれしくなるのである。
(落合図書館・ジジ)

田んぼや水辺でみられる植物の芽生えハンドブック

田んぼや水辺でみられる植物の芽生えハンドブック

著者: 浅井元朗・西廣潤/作

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2024年上半期(個人的に)一番役に立った本
我が家の田んぼに今年とくに蔓延っている雑草。対処したいんだけど、あれって何かなあ?

と、家族に聞かれたのが始まり。
とりあえず特徴を聞き、その場でネットで調べてみたところ「オモダカ科」のどれかであることは間違いなさそうだ。
しかしこのオモダカ、思ったより種類がある。しかもスマホの画面越しに見た写真だとどれもよく似ている。
せっかくなら特定して一番効く手段を講じたいのだが、ネットで調べて出てくるのは成長したあとの写真ばかりで、芽生えたばかりの今の状態と見比べてもイマイチ決め手に欠ける……。

そこで頼りになるのはやっぱり図書館!
蒜山図書館にも、今回の需要にドンピシャなこんな本があった。
芽生えたところから成長段階に合わせた写真と詳しい説明文が載っている。まさにこれが知りたかった。
ハンドブックなので楽に持ち運べるのも嬉しい。

さてさて、我が家の田んぼに生えている雑草は……
もっともノーマルな「オモダカ」である。という結論で全員一致した。
(蒜山図書館・888)

伴走者は落ち着けない

伴走者は落ち着けない

著者: インベカヲリ★/作

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精神科医斎藤学は…神?
巻頭、四半世紀痴漢を繰り返し4回逮捕された元患者の話から始まります。
いやいや逮捕されたら止めましょうよ、と思いますが止められないのが依存症なのでしょう。
全国から患者が集まり、治っても10年20年と通い続けるカリスマ精神科医斎藤学。摂食障害・窃盗罪・性倒錯・買物依存症・引きこもり等、主に依存症にかかわる症状をどのように治療するのか?著者は斎藤学の本の愛読者で、この本を執筆するため斎藤学本人はもちろん患者にもインタビューしています。わかりやすい言葉で書かれているので医学的知識の全くない私にも読みやすく、患者の方の症状も想像しやすいのです。
さて、治療の内容についてはあまりにも深すぎて私がご紹介するなんてことは到底無理なので実際に読んでお確かめください。私は、様々な症状は病気ではなく、人間関係の問題だという文が印象に残りました。本人が全く気付いていないであろう本当の問題を突いていく先生は本当に…神?と思ってしまいます。
(久世図書館・N)

動物たちの惑星

動物たちの惑星

著者: スティーヴ ブルーム/撮影

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待ち合わせ場所
図書館は、ときには子供たちの待ち合わせ場所になります。
しかし6月の終わりのある日、友達はなかなかやってきません。

手持ち無沙汰にしている小学生の女の子に
「壁の飾りつけやらない?」
とお手伝いを提案したら、
「やるやる!」
とうれしい返事が返ってきました。
彦星や織姫、天の川を手に持って、ここに貼るのはどうかな、こうしたほうがいい、とあれこれ言いながら壁にペタペタと貼り付けます。あっという間に7月の壁面飾りが完成しました。次は何をしようか、という雰囲気の中、
「これなんだろ」
と女の子が持ってきた本がこの『動物たちの惑星』です。海を泳ぐ象の表紙が印象的な、野生動物の写真集です。
「象って泳ぐんだね」
「なんの動物かな?いっぱいいる」
「シロクマって、なんでシロクマなんだろう。白いから?」
「えー!このパンダ見て!」
なんて言いながらページをめくる女の子と、側で覗き込む司書。わいわい言いながら眺めるのは、一人で見るのとは違う楽しさがあります。
そうしていると、友達がやってきました。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
(美甘図書館・かも)

家が好きな人

家が好きな人

著者: 井田千秋/作

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私の好きな場所
私は家が好きである。
外に出るのが嫌いなわけではないが、どちらかというと家でゆっくりしているのが好きなタイプの人間だ。そんな私も社会人となり、最初のターニングポイント「一人暮らし」がやってきた!自分だけの家!どんな家にしようか興奮を隠しきれない!しかし引っ越して数日、私にレイアウトセンスが無かったばかりに、実家の部屋を丸写ししたような、面白みにかける家がそこにあった。崩れ落ちる理想のお家像。こんなはずでは……。

そんな私が、タイトルを一目見て図書館で手に取った本書。後日、改めて書店で購入したほどに気に入っていてしまった。
オールカラーのコミックイラスト集で、5人の登場人物がそれぞれの家で過ごす日常が描かれている。どの家も住人の「好き」が溢れる空間になっており、カラフルな食器や電灯代わりのランタンなど、細部まで書き込まれたイラストは隅々まで見ていても飽きない。こだわりのインテリアが詰め込まれている空間は、ごちゃごちゃしているようで調和していて、まるで1つの作品を見ているかのよう。
まさに、私が目指す理想のお家像なのである。
ちなみに、各章の見出しは「○軒目○○さん宅」となっており、作者の細かなこだわりが見える。私の密かな好きポイントである。(こういうのに弱い)
「家が好きな人」には、ぜひおすすめしたい1冊。

ちなみに現在の私の家はというと、たくさんのものに囲まれ、少々にぎやかな毎日を過ごしている。友達との思い出の品も増えてきた。
なかなか本書に登場するような部屋にはならないが、いつかを夢見て、今日も部屋の片づけを始めるのだ。
(湯原図書館・ノサミ)

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