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ゆうべのヒミツ

ゆうべのヒミツ

著者: 室井滋

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好きなんです、室井さん
俳優であり文筆家、絵本の原作も手掛けるマルチなお方。久々のエッセイ集待ってました。
今までのエッセイでは、芸能人だからと気張ることない庶民的な語り口で読みやすいのはもちろん、この方は小さな事件(ネタ?)に頻繁に遭遇してすごいなと思っておりました。
今回はそこまで突飛なことは起こりません。でも楽しく読めるのは、面白いことを見逃さない観察眼と、人を惹きつける言葉選びなのでしょうね。
さ、今夜も寝る前に一遍…と言いつつ、つい読み進めすぎてしまう…寝不足です。(久世図書館・N)

百年の孤独

百年の孤独

著者: G.ガルシア=マルケス

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一度挫折した本
呪われた一族の百年にわたる物語が、現実と非現実が混ざり合いながら展開される世界的ベストセラーです。

この本を教えてくれたのは、高校生のとき通い詰めていた図書室の司書さんです。おすすめの本を聞いた私に、そっと渡してくれた分厚い本は、司書さんの私物でした。喜んで借りたものの、当時の私にはどうにも読み進められず、最初の章で離脱しました。

しかし、『百年の孤独』このかっこいいタイトルを気に入っていた私は、いつか読むのだと心に留めていました。同じ銘柄の焼酎を見かけると、あの本読まなきゃなと思い出されるのです。
2021年、中央図書館の新着本コーナーで発見したのをきっかけに、再び挑みました。歳を重ねてから読み始めると、一度挫折したのが嘘のように壮大な世界に引き込まれ、一気に読んでしまいました。
司書さんは高校生の私に読める適当な本ではなく、本当に自分が面白いと思った本を薦めてくれたのだな、と改めて感謝の気持ちが湧いてきました。あのときは、面白かった、と伝えることはできませんでした。私にとってこの本を読むのに最適なタイミングは、ずっと後だったのです。

今年文庫版が出版されて話題になっている『百年の孤独』、みなさんも“いつか”読んでみてください。
(美甘図書館・かも)

オタク女子が、4人で暮らしてみたら

オタク女子が、4人で暮らしてみたら

著者: 藤谷 千明

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わたし、気になります!
実家にいた頃は友人と気軽に遊べた。しかし、社会人になって地元を離れるとそうはいかない。日程調整だけで難航することもしばしば…。「友達と一緒に住めたらどれだけ楽しいだろう」……そんな私の空想を実現させているのが本書である。
将来への不安を覚えた著者が、同じ悩みを抱えたオタクな友人たちと同居に至るまでの経緯や、日々の暮らしの様子を綴ったゆる~い日常エッセイ。
オタクならではの住民同士の面白い会話だけでなく、生活ルールや家事分担の決め方など、ルームシェアをする上で参考になる情報もたくさん書かれている。
ちなみに、他人同士で住むコツは?と聞かれ、「衛生観念と経済観念と貞操観念のすり合わせができたらなんとかなるのでは」と著者は答えている。家族やパートナー「じゃなくても」、友人同士「だからこそ」の暮らし方もあるような気がした。
ルームシェアをお考えの方、ご参考までに。
(湯原図書館・ノサミ)

ミステリな建築 建築なミステリ

ミステリな建築 建築なミステリ

著者: 篠田 真由美

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間取りを見ているだけで時間が経ちます。
ミステリ小説は好きでよく読むのですが、残念ながら空間把握能力に若干の難があるらしい私は、推理の肝となる建物の描写を読んでもいまいち頭に様子を思い描けません。
最近では、さーっと読んで「とにかく密室なんだな!よし!」と、もはや考えるのを諦めることもしばしば…。
いえ理解したいとは思っているのです。そこで手に取ってみた本です。
一度は耳にしたことのある有名な作家の有名なミステリ小説の舞台となっている建築物を、再現イラストなど合わせて解説してくれます。(ミステリのネタバレはなし!)

しかし、とくに興味深かったのは本の前半。実在した建築物の謎について書かれた章でした。
鹿鳴館や龍翔小学校など、明治時代の建物ってどうしてこう心が惹かれるんでしょうね。
(蒜山図書館・888)

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365日

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365日

著者: デイヴィッド・S・キダー

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つまみ食いもいいでしょ。
年に1・2回、仕事関係以外で「固い本が読みたい!」という衝動に駆られることがあります。この本は、そんなある日に出会った一冊。大まかに説明すると、扱うテーマは「歴史」「文学」「視覚芸術」「科学」「音楽」「哲学」「宗教」の7つに分かれており、例えば「歴史:アルファベット」「文学:『ユリシーズ』」という風にテーマに沿った事柄が1ページごとにまとめられているので、1日に1ページずつ、365日を目標に読むといい、という仕様になっているのです。
そう言われても本の分厚さと「365日」という日数にたじろぐ方もいらっしゃると思います。正直に言って、私も一気に読んだわけではありません。気が向いたときに「前はたしかここまで読んだはず」という記憶を頼りに読んでいくのです。なんなら、読んでもよくわからないところは斜め読みにしたりもしますし。
いわばこの本は〈知識のつまみ食い〉ができる本なのです。小腹が空いたときに軽く何かを食べるように、ちょっと知識欲を満たしたいときに、様々な知識を自分のペースで読む。邪道かもしれませんが、そんな読書もあってもいいかな、と個人的には思っています。
もちろん、まっとうに1冊読み切れば、十二分にご満足いただけると思います。秋の夜長、多彩な知識のつまみ食いはいかがですか?
(中央図書館・だいず)

ATTENTION SPAN デジタル時代の「集中力」の科学

ATTENTION SPAN デジタル時代の「集中力」の科学

著者: グロリア・マーク/著 依田 卓巳/訳

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私に足りないもの、それは、自制心・・!
幼いころから本を読むことが好きな私ですが、5年ほど前から読む量が明らかに減ったことに気づきました。
加えて、集中して長時間、本を読むことが難しくなってきていることにも。

逆に増えた時間といえばスマホを眺める時間です。
最初は違和感のあったSNSのショート動画が今では見始めると止まらなくなる。
逆に長すぎる動画を見るのは億劫になってきている。
スマホが近くにないと落ち着かない。
そんな症状に気づいてしまったのです。

うーむ……
本を読むことで得られる発見や感動を手放したくない。ジャケ買いした本で予想外の感情を知ったり、とか、心の底から湧き上がる感動、とかそういうものに唐突に出会いたい。
これからも本を読むということを大切にしていきたい……

そこで、対策を考えました。
私は、性格上、読んで理由が分かれば納得できる。
それならば読むことで自分を律しようということで読んだのがこの本です。

「うんうん。そうだわ。確かに・・・!」の連発でしたが、なにぶんにも太い本なので集中力が続かず、読み終わるまでかなりの時間を要しました。やはり(笑)

しかし、読み終わってなんとなく納得したので、自制心をもってスマホとの付き合い方を考えていくことにしました。
スマホは大好き!そこは否定せず、しかし、距離感をうまく保つことがだいじ。
寝る前はスマホを見ない。出先の待ち時間では文庫本を読む。
などなど意識してスマホとの距離を保っていこうと思います!(ここに誓います!)

スマホと集中力の関係について、デジタル関連の研究等をもっと詳しく知りたい方、スマホとの関係で悩んでる!という方は是非ともこの本を読んでみてください。
(中央図書館・イミ)

一年一組せんせいあのね   こどものつぶやきセレクション

一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション

著者: 鹿島 和夫/選 ヨシタケ シンスケ/絵

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わたしが甘やかしすぎたかしら
小学1年生の登竜門、「せんせいあのね」。1年生の国語の単元で、経験したことや思ったことを先生に話しかけるかたちで文章を書くというもの。
娘が1年生の頃、せんせいあのねの宿題が出ては、どこかにお出かけしたこと、イベントに参加したことを書いていましたが、特に何もしていない日は「書くことがない」と。
どこかに行って何か特別なことをしなくても、日常の中で思ったこと、気づいたことを書けばいい、本を読んだ感想とか、空の雲がどうだったとか。と、伝えても納得しない娘におすすめの1冊。

神戸市で教員をされていた鹿島先生と子どもたちとのせんせいあのねからうまれた、1年生のことばたち。素直に感じたままの文章は、実は深く、でもかろやかに心に入っていきます。ヨシタケシンスケさんの絵とマッチして、くすっと笑えます。子どもならではの視点や、言葉の選び方は大人には書けないすてきな作品ばかりです。

ここで私のせんせいあのね

せんせいあのね。むすこ(2さい)がむすめ(7さい)にちょっかいかけて、なんかいも「やめて」っていっているのにやめてくれません。すると、むすめが「○○くんがこんなふうになったのは、わたしがあまやかしすぎたのかしら、、、」といっていました。どこでそんなことばおぼえたのでしょう。ばあばからきいたそうです。じゃあ、ばあばも「○○(わたし)をあまやかしすぎたのかしら、、、」と、まごにいっているのかな。
(中央図書館・あいすろいみ)

ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便を とり入れてみてはどうですか?~不便益という発想

ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便を とり入れてみてはどうですか?~不便益という発想

著者: 川上浩司

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不便からうまれる気づき
行き詰まりを感じているわけではないが、不便を取り入れる?不便益とは何だろう?とタイトルが気になり、とりあえず“まえがき”をめくってみた。
ある若手社員が企画のプレゼンで商品のネーミングを提案したが、上司から「長すぎる!」と一蹴されてしまう。しかし若手社員は今までのやり方を踏襲しようとする役員たちに納得がいかず、反論合戦が始まってしまう。
たいていの会議では発言するのは発表者と司会の人だけであとの人は黙って聞いていることが多くなる。(完全に黙って聞いている派に属する私には耳が痛い話である)しかしこの時は会議の参加者全員が本音で発言し合い、場が活性化されたのだ。なるほど長いタイトルは不便で採用されなくとも、そこから生まれた全員参加の議論は有益な時間となったのか。この本には著者の言う「不便であるからこそ得られる効用」が事例と共に紹介されている。
私の生活の中の「不便益」とは何だろう?すぐには思いつかない。それだけ不便なことは不便で仕方ないと受け入れているのかもしれない。しいていうなら姉と買い物に行き、同じ服を選んでしまったら色違いで妥協する。そして色に飽きたらトレードが可能。…はっ!そのためには私のダイエットが必要であった
(合掌)
(中央図書館・ヨラコ)


映画興行分析

映画興行分析

著者: 宇野 維正

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いやー洋画って本当にいいもんですね
以前も書いたことがありますが、実は読書より映画を見るのが大好きだったりします。
そんな私が最近特に感じていることなんですが、映画館(今はほとんどシネコン)に行くと、スクリーンのほとんどが「名探偵コナン」等のアニメだったり、「TVドラマの劇場版」だったりして、自分は確かに映画館にいるんだとの確信が揺らいでいるような気持ちになります。
私の世代は、TVのゴールデンタイムに映画劇場が週に4~5本はあり、それもほとんど洋画(ハリウッド大好き)が放送されていたことから、少なくとも、私の中では少年時代から現在まで「映画=洋画」で、同世代の方々も同じだろうと思っています。そう信じたい。
何でこうなったんだろうかと考えてみるのですが、思い返せば、多分、レンタルビデオや衛星放送が普及した頃から(1990年代後半?)か、地上波の映画劇場が激減し、残った数少ない番組も、アニメやシリーズ物を繰り返し放送することが多くなってきたことで、若い世代の人たちにとっては、映画=「アニメ」や「ドラマの劇場版」なんだろうなと、漫然とこういったことを考えている今日この頃なんです。
そんな時、出会った一冊が今回紹介する『映画興行分析』です。
この本を読むと、何となく感じていた疑問が解け、自分の思っていたことがデータでも裏付けられていて、納得するとともに、さびしかったり、自分が年老いて時代遅れになっているのかと考えたり、複雑な心境になりました。
私は、アニメもドラマの劇場版も好きで楽しんで見ています。
是非、若い方々に洋画も見ていただき、良さを知ってほしいなと願っています。

( 中央図書館 SHITUCHO )

アメリカは自己啓発本でできている

アメリカは自己啓発本でできている

著者: 尾崎俊介

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人生ノイズだらけもいいじゃない
 新聞書評等で少し前に話題になっていた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んだ。本が読めないのがいやで会社を辞めた著者が、日本の明治から現代に至る労働の歴史に、各時代の働く人々が何を読んできたかを織り交ぜて、働いていると本が読めなくなる理由を説く。現代人は情報を必要としていても、「ノイズ(歴史や他作品の文脈・想定していない展開)」が一緒に入ってくる読書は避けがちなのだと。こうして「タイパ」や「ファスト教養」へ行き着く。
 そんな中でも自己啓発書がかろうじて読まれるのは、他人や社会など自分ではコントロールできないものを「ノイズとして除去」して、自分の行動のみに注目するかららしい。
 そんなこといったら私の毎日は「ノイズ」だらけ、かも。
 この本を読みながらも、大正時代に登場した「サラリーマン」が何を読んでいたかで登場する『痴人の愛』を借りたり、自己啓発書といえば「あれ」を読みたかったのだと手に取ったり。
 ということで今回紹介するのはこの「あれ」、つまり『アメリカは自己啓発本でできている』。『なぜ働いていると〜』が当館では貸出中&予約待ちなのだ。お待ちの間にこちらをどうぞ。自己啓発本ってアメリカ発祥で、さかんに読まれたり書かれたりしている国はアメリカと日本くらいだそうだ。アメリカ文学者が自己啓発本を研究し尽くした稀有な一冊。

(中央図書館・くろ)

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