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猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました

猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました

著者: やーこ/作

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ピンクのヨラコからやーこさんへ。
前回は双子の姉の靴底のはなしをお送りしたヨラコです。
今回はこのようなタイトルの本を目前にして素通りにできなかった私。
早々に読み進めると、著者の身の周りで起きる奇想天外な事態に遭遇した(巻き込まれた)人たちが必死に笑いをこらえる様が著者ならではの独特な感性で記されている。タイトルの“小刻みに震える”とはそういう意味であった。しかし、こんな愉快な日常を送れる著者とはさぞ自身も風変りな人であろうと想像したが読めば読むほどその通りであった。もし私が、やーこさんとご近所さんだったら「今日は何かありましたか?(あったでしょ?)」と声をかけるに違いない。そして小刻みどころではすまないことは必至である。
かくいう私も“小刻みに震えられる”対象になるであろう話を一つ。
社会人となり仕事にも慣れてきたころ、無性にイメチェンがしたくなり美容院へかけこんだ。
「今日はどうなさいますか?」
「長くて重いので明るめにカラーリングをお願いします。でも茶色は明るくなりすぎるので赤のトーンで抑えながら軽い印象で…」
抑えの赤に軽さを求めた結果、数時間後、鏡の前に映ったのはピンク色のピグモンであった。
翌日からピンクの髪をお団子にまとめ、私の頭が何か?という顔で出社した。誰も何も言わなかった。きっと“小刻みに震えていた”に違いない。
実は地元のケーブルテレビでもおすすめ本として紹介したことがあるこの本。二度も紹介するとは何かあるのか?と思われるかもしれないが、何もない。出版社に紹介の可否を確認したとき、著者のやーこさんが大変喜んでくれているとの返事だったことぐらい。さらに放送日等詳細を教えてほしいと言われ放送日時を伝えたがケーブルテレビを見る術がないであろうことが口惜しかった。もし見てもらえたら私に同じ種のにおいを感じていただけたかもしれない。
(中央図書館・ヨラコ)

ランチのアッコちゃん

ランチのアッコちゃん

著者: 柚木麻子 /作

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がんばる人のお昼ご飯
ランチがきっかけで変わる人生。
恋人と別れ、傷心の三智子はある日、上司のアッコ女史の提案でお昼ご飯を取り替えっこすることになる。自分の弁当をアッコ女史にわたし、かわりにアッコ女史に決められたお店や場所で、いつもと違うお昼ご飯を食べることに。それがきっかけで、さまざまな人と関わり、考え、前向きになっていく三智子。アッコ女史の人柄もわかっていき、、、
「今日のお昼ご飯は何食べよう」と楽しみになる、そんな元気のでるお話。

10年くらい前、知り合いの女の子が「ママがパパのお弁当5分で作れるわって言ってた」と教えてくれた。
当時、お弁当を作る習慣がなかった私は、そんなわけない!と思ったが、夫のお弁当を作るようになって(たぶん)7年。
わかるわかる。パパ(夫)の弁当は5分でできるよ~。
できる日はなるべく5分より7分、少しだけ時間をかけてお弁当を作って前向きにお仕事頑張ってもらいます。


(中央図書館・あいすろいみ)

寒天

寒天

著者: 中村弘行/作

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寒天びっくり仰天
どうもどうも、くろです。のっけから下手な駄洒落ですみません。

今回の話題は寒天です。テングサからトコロテンができて、トコロテンから寒天ができるって、知ってました?私は、テングサから寒天、寒天からトコロテンを作るのだと思っていました。

おまけにテングサという海藻があるのではなくて、藻植物門>紅藻植物亜門>紅藻綱>真正紅藻綱ときて、テングサ目テングサ科テングサ属となり、「トコロテン本来の風味と食感を出す原料はテングサ属のマクサ、オニクサ、オオブサの三種に絞られる」のですと。

そして、トコロテンのルーツは南洋諸島、そこから中国へ伝わり、日本に製法をもたらしたのは遣唐使(630~893)。
寒天の発明は、なんと江戸時代に入ってからだそうです。

ほかにも、藤原京(694年に成立)から発見された木簡に「心太」の文字があり、平安時代中期の辞書によると、「ココロフト」と読む。これが「ココロフト→ココロブト→ココロブトイ→ココロフテエ→ココロテエ→トコロテン」と変遷(!?)したとか。

とはいえやはり本書の読みどころは第2章以降。著者の独自調査により、新・寒天発明説をまとめた第2章「寒天の発明」は、まるで推理小説。第3章の大阪摂津の寒天の話は、高田郁の小説『銀二貫』にも出てくるのでご存じの方もいらっしゃるかも。私のイチオシは樺太での寒天製造に関する8章と9章です。

まずは「まえがき」をご一読ください。著者の熱量にしびれること請け合い。

本書を含むこの『ものと人間の文化史』シリーズでは、一つの「もの」が深く探究されます。まな板やパチンコなど、身近だけれど意外と成り立ちを知らないものについて調べる時に、私はまず思い浮かべるシリーズなのでした。

( 中央図書館・くろ )

プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー

著者: アンディウィアー/作

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何を書いてもネタバレになるので内容に触れられないSF小説
このコーナーでの紹介をきっかけに「三体」ブームが図書館にもやってきた。
そして、現在、職場ではSFブームが到来し。さらに同僚Aさんは、SFからさらに「数学的思考」に陥り、微分積分についての本を読むにいたり、Bさんは、「次元」や「無」についての本を読み、次はこの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読みたいと意気込んでいる。

意外と理系の人も多い図書館の人々。同僚たちは、いろいろ理論も気になるらしい。しかし、私などまったく科学物理が分からぬ人間なのだが、この本は感覚だけで楽しめる(わーい)。意味が分からない単語のオンパレードだとしても、まったく気にならないがおもしろい。
そういえば落合陽一が以前書いていた本のなかに、「SF小説はEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)を聞いているノリで楽しむ」という意味の一文があった。こんな頭いい人なのに理論よりノリなのか!って驚いた。そして、自分の読み方も完全にそっち側で、落合陽一と同じだって小躍りしたのを思い出した。(おこがましい。たぶん厳密には違う)

物理・化学・数学すさまじい情報量なのに人情物にも通じる部分あり涙あり・・・そんな本書をおすすめします。
前知識なしで、難しいことは考えず、ぜひ!
(中央図書館・イミ )

31cm

31cm

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「贈り物」が問う、自由な社会とは
新聞やテレビで「(このエクセサイズは、この食品は……)認知症予防になります!」というセリフを毎日にように聞く。そのたびに、まあ、そうだけど… 「認知症になっても大丈夫な社会を」と言う方が、やさしい社会のような気もするんだよなあ、なんてちょっと思う。

そんな偏屈な私に向けて書かれているのではないか、と思うような本に出会った。

「病気で髪の毛がない子どもたちのためのウィッグをつくるために、自分の髪の毛を切って贈る」という活動をしているNPOの本。(タイトル「31cm」は、髪を寄贈する際に、最低限必要な長さ)

必要とする子たちのために、何年もかけて自分の髪を伸ばして、贈る。24時間テレビに出てきそうないいお話……たしかにそうではある。

しかし、このNPOの目標は「必ずしもウィッグを必要としない社会」だという。

それってどういうこと?

そう思って、読みはじめた。

この本は、自分の髪を贈る人、贈られる人、切る人(美容師さん)さまざまな人々のインタビューでできている。
ウィッグで前向きに生きられるようになったお子さんの語りからはじまるが、ページをめくっていくと、例えば、長年ウィッグを使ってきたが、ウィッグをはずしてまちに出て行くにいたった方がその気持の変遷を丁寧に語っていたりする。
全く一様ではない。

一人ひとりの言葉に、「そうだよなあ」といちいちうなずいていくうちに気づいたら一冊読み終えていた。単純な二項対立でものごとをとらえがちな自分がちょっと恥ずかしくなった。
まるで本の上で、哲学対話をしているかのようだ。
テーマは「自由に生きられる社会とは」だろうか。

とくに、容姿が気になる10代の若者なら、この本をどう読むだろうか。
いつか、この本を囲んで対話をしてみたい。

(中央図書館 カンチョー)

トゥルー・ストーリーズ

トゥルー・ストーリーズ

著者: ポールオースター/作

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信じる者が一人でもいれば その物語は真実にちがいない
どうも、くろです。
4月30日に作家のポール・オースターが亡くなりました。
ここ数年で、若い頃から好きだった作家やミュージシャンが亡くなるようになってきました。そのたびに「ああ、とうとうこの日がきてしまったか…涙」となります。さみしいもんです。
私の初ポール・オースターは、本ではなく映画でした。彼が脚本・監督をつとめた「スモーク」。米国人俳優ハーヴェイ・カイテル好きの先輩からのおすすめでした。ブルックリンの街角にある煙草屋を舞台に、店主(ハーヴェイ・カイテル)によるクリスマスのちょっといい話かと思いきや、嘘みたいなほんとの話とほんとのような嘘がごちゃごちゃ込み入って、そんな物語。大好きだったなー。また観たくなりました。
彼のエッセイ集『トゥルー・ストーリーズ』でも「スモーク」を彷彿とさせる「嘘みたいな本当の話」が語られます。
そうそう、彼がラジオ番組の企画でリスナーに呼びかけて集めた「作り話のような本当の話」をまとめた本『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』は、ちょっと前のこのコーナーで、ヨラコさんが紹介していた『嘘みたいな本当の話』の元ネタなのでした。
(中央図書館・くろ)

ゾンビ3.0

ゾンビ3.0

著者: 石川智健/作

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「3.0」? そういうことなのか・・・
「ゾンビ」といえば、マイケルジャクソンのスリラー(古い?年齢がバレてしまう)、ゲームのバイオハザード、ドラマのウォーキングデッド等、様々な媒体に登場します。
 近年、「ゾンビもの」が流行っているようで、私も映画やドラマを見たりゲームをプレイしましたが、どうしてゾンビになるのかについては、いまいちはっきりしていません。
 ゾンビを一躍有名にしたロメロ監督の映画では墓から死者が蘇えりましたが、最近は何らかのウイルスに感染してゾンビ化するという設定の作品が多いように思います。
 しかし、この作品は「3.0」とうたっているだけのことはありまして、医学的・科学的な見地からゾンビ化の原因が解明されていきます。
 常々「どうして死んでいるのに動けるんだ?」と気になってしょうがない方、その答えを見つけるため、ご一読するのもいいかもしれません。
(中央図書館・SHITUCYO)

地震・台風時に動けるガイド

地震・台風時に動けるガイド

著者: 辻直美/作

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護りたい人がいるあなたへ
この本は、常日頃「なにかしなければならない」と思いつつ結局なにもできていないと思っている方、「何から始めればよいのかわからない」と漠然とした不安を抱え、しかし結局、防災準備が進まないという方に向けて書かれている(それはつまり、私のことだ)。

さらに、この本のテーマは「自分のための防災から大切な誰かを護るための防災」(はじめに)である。たとえば、家庭で介護をしている方に向けて、もしも被災さいたら何が重要かについても詳しく具体的に書いてある(もうすぐ我が家の親も介護が必要になるので助かる)。

著者は、看護師として活動中に阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件の救援を経験。それを機に「災害レスキューナース」として被災地での活動や防災啓蒙活動をしている。著者は多くの本を出しているが、この本はとくにおすすめ。新聞でつくる防寒具や、身近なもので簡易トイレをつくる方法などが、写真やイラストで説明されている。そして、「気負わず少しずつ始めれば良い」と、具体的な対策を教えてくれる。「まずは1か所、滑り止めシート1枚からおいてみましょう」と。( 久世図書館・N )

星ぼしでめぐる ギリシア神話

星ぼしでめぐる ギリシア神話

著者: 百々佑利子/作

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そら
蒜山図書館の閲覧スペースからは、四季折々の蒜山三座が見えます。
芽吹いた新芽と葉のグラデーションは、今だけの景色。
そして、三座の周りには、そらが広がっています。

 そら と平仮名で書かせていただいた理由は、
今、自分が見ている そら は、
空なのか、
宙なのか、
どちらでもない そら なのか…
はっきりと決めることが出来なかったからです。

辞書で言葉の意味を調べ、
専門書を読み。
小説。
エッセイ。
写真集。

それぞれの作り手の そら の見方に触れ、迷いは深まります。

深まった迷いの中、
散らばっていた見方の間に、別の見方が納まり、
繋がりに少し気がついた。

それが、今の私の そら です。

今の そら になるまでに出会った本の中で、
星ぼしでめぐるギリシア神話は特に印象に残っている一冊です。

作者、百々佑利子さんは、

ギリシア神話は、そらんじられ、うたわれ、
文字に書き記され、書き写され、
そのたびに細部が書きこまれ、あたらしいことがつけくわえられ、
印刷して広まりました。

と書いています。

文字になる前のギリシア神話を聞いた人が見た そら は、
どんな そら だったのでしょう。

優しい声で聞く、寝る前のおはなしの そら だったのでしょうか。

厳かな祈りの歌の そら だったのでしょうか。

当時のままに体験することは出来ませんが、
遥か昔の人が見た そら も、今の私の そら の一部として、
残してゆきたいです。
(蒜山図書館・ミトン)

季節の不調が必ずラク〜になる本

季節の不調が必ずラク〜になる本

著者: 瀬戸佳子/作

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花粉症デビューしました!
数年前から春が近づくと「なんだかくしゃみが増えたな」「ちょっと目に違和感があるな」と思ってはいた。でも受け入れたら余計に悪化しそうで、頑なに気のせいだと自分に言い聞かせていた。
けれど今年の春の目のかゆさにはもう我慢できなかった。かゆい。私はついに花粉に屈したと認めざるをえなかった。

まだ症状が軽めな今のうちになるべく手軽にできる対策はないかと思っていた時、ゆるめなタイトルに惹かれて手に取ったのがこの1冊。
漢方や薬膳の視点から教えてくれる「養生」の仕方は、日々の生活に取り入れやすいものがいっぱい。
体にいいと思ってやっていたことが、実は季節の不調と相性が悪かった……なんてこともちらほら。
これからの時期に心配な夏バテや熱中症についても、この本を片手に早めに養生していこうかな。
(蒜山図書館・888)

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