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日本語を味わう名詩入門 6

日本語を味わう名詩入門 6

著者: 萩原昌好/作

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たまには「詩」でもいかがですか?
小さなころから「詩」というものが、創作するのも、読むのも苦手でした。
短い文の中に気持ちがぎゅっと込められていて、なんだか恥ずかしさを感じてしまうのです。
大人になって著者の風貌から興味を惹かれ(この本には著者のお姿は出てきません。)手に取った本ですが、
短いからこそひとつひとつの言葉に力強さがあるようで、頭の中に情景が浮かんで流れるような言葉選びに詩の楽しさを知ったような気がしました。
(中央図書館 O)

本を読めなくなった人のための読書論

本を読めなくなった人のための読書論

著者: 若松英輔/作

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読書って自由でいいんだった。
ついつい子育てや家事に追われ、自分のことは後回し。(司書なのに)本を読めないことに、罪悪感を感じることもしばしば。
最近は昔のような読書(好きなものを好きなだけ読む)ができてないことへの焦りがありました。
でも、この本を読んで、そんな気持ちは持つ必要がないと安堵しました。
また不安になったら何度でも読み返します。

(中央図書館 いみ)

スペイン修道院の食卓

スペイン修道院の食卓

著者: スサエタ社/作

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図書館でしかできないこと
図書館ってどんな場所か、を私に教えてくれた一冊です。

館長になってしばらくしたある日の夕刻、料理本の棚の前で本の返却をしている職員Fさんに声をかけた。
(私)「レシピはネットで調べる時代。料理の本を見に図書館にくる人って、どんな方なんでしょうね」
(Fさん)「これって決めってっていう人もいますが、漠然と『料理の本を』と思って来る人もいますよね」
そこに、U司書が通りがかった。U司書はおもむろに本棚から一冊の本をとりだして、
(U司書)「カンチョー、図書館に来ると、こんな本にも出会えるってことではないですかね」
それは『スペイン修道院の食卓』という大きな本だった。
(私)「たしかにこの本は『検索』でひっかけることはできませんよね」
(U司書)「その思いがけない出会いがあるのが図書館ですかね…」

「AIによる自動オススメ」の対極に図書館はあります。
うろうろするから、思いがけず出会えるものがあります。

とても非効率だけれども、それがなければ人生はつまらない。

ですよね!

お待ちしています。

*各修道院の概略もわかります。修道院ごとのレシピが掲載されています。
 例)プッチ王立修道院:イカスミのパエリア
   サンクティア スピリトゥス修道院:サツマイモのアーモンドのクッキー

(中央図書館 KANCHO)

自家醸造を楽しむ本

自家醸造を楽しむ本

著者: アドバンストブルーイング/作

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自分で作れるって最高!
わたくしは根っからの文系人間なのですが、父が化学の先生だったせいか子どもの頃は家でよく実験の真似事をして 遊んでいました。
顕微鏡をもらって池の水を見たり、卵のパックに朝顔の花の色水を作ってガラスのスポイトでお酢をたらして色を変えたり、じゃがいもから澱粉を取ったり。
バナナの匂いのする歯磨き粉にはバナナは入っていない ということを知ったのもこの頃でしたっけ。
真庭に移住して来て、定番の梅干しだけでなく、こんにゃくや粒マスタードや塩麹などなどこれまでお店で買うものとばかり思っていたものを自分で作る機会がちょいちょいありまして、そんな時には幼い頃の「実験」が思い出され血が騒ぐのでした。

さてこの本には、なんとあのミード(蜂蜜酒)の作り方が載っています。わたくしが愛してやまない、ローズマリ・ サトクリフによるローマン・ブリテンものでもお馴染みの飲み物です。あの憧れの飲み物を自分で作れるなんて、感激!材料はそろえたので次の休みに仕込んでみたいです! 最低半年、5年くらい寝かすと色も香りもとても美味しいらしいです。
(中央図書館 くろ)

GIFTED

GIFTED

著者: 小野伸二/作

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カーテンを開ける
人生で一度だけJリーグを観戦したことがある(というか一度しかない)。
そこで素人目でも、まったく違うレベル、とわかる選手がいた。
かっこいい……ため息が出た。
小野伸二選手だった。
浦和レッズに入団したての18歳。少年の面影を残していた。

この本には、伸二少年がサッカーと出会った頃の喜びが綴られている。
日曜日には試合があった。朝、自室のカーテンを開け、晴れだったら「今日も試合ができる!!」と狂喜したという。

そして、最近の子どもたちが少し気になる、と次のようにいう。

「ときどき思うのは、今の子はちょっと教えられすぎじゃないかな、ということ。(中略)いろいろなトレーニングをして、いろんなスクールに通って、さまざまな指導者に教えてもらうことは確かにレベルアップにつながるんだろうな、と思う。
でも、どこかやりすぎ、教えられすぎな気がしている。
あの、ドキドキしながらカーテンを開けるときの気持ちを知らないんじゃないだろうか、って。」

英語では、スポーツも、音楽も、演劇も、すべてPLAYするもの。つまりは遊びだ。

先の東京五輪のスケートボードの選手たちを思い出す。
国など関係なく、新しい技=試み・冒険をした選手を称えあい、抱き合っていた。
まるでまちのストリートで遊んでいるかのようだった。
競技自体がまだ若いから遊びでいられるのだろうか。

いま、子どものスポーツの傍らには必ず大人がいる。
指導の名のもと、結果を残すことばかりに気をとられ、遊びの時間(自分の時間)でなくなってはいないだろうか。
カーテンを開ける喜びを保障してあげられているだろうか。
(中央図書館 KANCHO)


つみきのいえ

つみきのいえ

著者: 平田研也/作

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オレンジ色のプール
この絵本を読むたびに、思い出す風景があります。

中高生の時、私は水泳部でした。日暮れどき、肺の空気をふーっと出し切ってプールの底に沈み、そこから水ごしに空を見上げるのが練習後の楽しみでした。夕焼けが水の中で歪んで見えて、広いプールがオレンジ色に染まり、見たこともないほどきれいでした。

この本にも、水辺の風景とおじいさんの家が、不思議なタッチで描かれています。
おじいさんの記憶を追体験しているようなノスタルジックな気持ちになります。

若い時に読みましたが、年を重ねても読むたびに読後感が変わっていきます。
大人の方にもぜひ。

*絵本より先に発表されたショートアニメ(アカデミー賞短編アニメーション部門等を受賞)もオススメです。
(中央図書館 いみ)

サウスポイント

サウスポイント

著者: よしもとばなな/作

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ある岬の記憶について。
『本は読めないものだから心配するな』という印象的なタイトルの本があります。下北沢のビールが飲める書店へ堀江敏幸さんのトークイベントに出かけた時に一目惚れで購入。ここに、すぐれた仏文学者であり大江健三郎の師匠だった渡辺一夫氏ですら、初めて読むと思っていた本が実は昔読んだ本だったことから、「読まないのと全く同じ結果になっていた…」と語ったとのエピソードが出てきます。いわんや凡人をや。
さてところで今回紹介するのはこの本ではなく、ここでタイトルに使った言葉によりこの本で紹介されている吉本ばななの『サウスポイント』。サウスポイントとは、ハワイ島では「ラ・カエ(=岬)」と呼ばれる岬のこと。死者と生者が混在するいろんな意味でなんとも切ない物語なのでした。そしてわたしは現地の言葉でただ「岬」と呼ばれる場所に行ってみたくなり出かけて行ったのでした、が、時は2018年、この年のハワイ島といえば…。
吉本ばななというと「ムーンライトシャドウ」も好きだな(映画化されましたね、観てないけど)、泣ける。
(中央図書館 くろ)

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